スポーツ

森保ジャパン、苦戦の裏に潜む“野望”。完成形は「世界でも稀なチーム」に

「ピッチを5分割する」戦術を取り入れる

日本代表

コロンビア戦に挑んだイレブン

 ボールを保持して自分たちがゲームの主導権を握る戦い方をするポゼッションサッカーを目指すチームにおいては、ピッチを縦に5分割(等分ではない)する5レーンという考え方をすることが多い。その5レーンを基にどう人を配置してシュートチャンスをつくっていくのかを組み立てた戦術がポジショナルサッカーと言われている。  今回、森保ジャパンが取り入れた新戦術も、同じようにその5レーンにどのように人を配置して相手の守備を切り崩していくのかを考えたものになる。  その新戦術採用について、森保監督は以下のように説明している。 「今回の攻撃の形、サイドバックがどうやって攻撃に関わるかということであったり、前線のウイングの選手の幅をどうやって生かすかであったりと、我々にはサイドの強みになる選手もいるので、そこをトライしていこうということを名波コーチを中心にこの活動期間でトライしてきてくれました」

W杯で“対策”はできていた

 余談になるが、この5レーンへの人の配置は、基本的に最終ラインに4人のDFを並べる4バックのシステムを採用するチームに対して、局面で数的有利な状況をつくり出すので有効的な手段になる。守備時の最終ラインが5人になる5バックや3バックのシステムを相手にすると、局面で数的同数となりその効果は薄れる。この5レーンに対する対策をして勝利したのが、カタール大会でドイツ代表やスペイン代表に勝利した日本代表だ。  このまでの日本代表も5レーンの考え方に基づいて戦ってきており、前回のアジア最終予選時では流動的ではあるがセンターに大迫勇也、サイドに伊東純也と南野拓実、その間に守田英正と田中碧を配置していた。
次のページ
新戦術のメリットは?
1
2
3
4
5
スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
記事一覧へ