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実は社会人の必須テクだった“自己紹介”。相手の心を掴むテクを元芸人起業家が伝授

ストーリーのある自己紹介を

中北朋宏ーー中北さん自身の自己紹介はどんなものなのですか? 中北:ストーリーを作ることが重要だと思っています。私は元芸人として認識されているケースもあって「ビジネスを知らない」と思われていたりします。なので、黄色や赤など派手なネクタイだと、そのイメージを払拭できません。私がビジネスの場に出るときは白いシャツに紺色のネクタイをつけると決めています。これで「元芸人なのにきちんとしている」というストーリーを立ち上げます。 ただ、これだけだと「元芸人のくせに面白くないな」となるので、iPadと同じくらいの大きな名刺を出します。 ーー私ももらいましたが、驚きました(笑)。元芸人からきちっとしたビジネスマンというイメージに塗り替えていたからこそ、巨大名刺のインパクトが増すんですね。 中北:そしてこれを、ただのボケで終わらせず「これは顧客を選別するためにやってるんですよ。名刺にリアクションしていただけない方とは取引をしません」と話します。ビジネス的な意図があることまで伝えているわけです。 ーーそのように、自己紹介の時点で突き放すのは勇気がいりますね。 中北:人間って突き放されると「関係を修復したい」という反応を自然にします。 ーー「和を以って尊しと為す」を大事にする日本人ではなかなかできない芸当ですが、それゆえに効果がありそうですね。 中北:相手が関係を修復したいと思うと、こちらに認めてもらうような行動を起こすことがありまっす。そこに、チャンスが生まれますよね。

よくある自己紹介の失敗例

ーー自己紹介の時点で笑いを狙いにいって、場の空気を凍りつかせる人もいますね。関係性がまだできていないため、こちらも苦笑いしかできないというお互いに辛い時間を、何度か見てきました。失敗しないために気をつけることはありますか? 中北:まず、自己紹介の場で爆笑を起こすことは無理だと理解することです。これは、個人のスキルではなく、笑いというものは構造上、雪だるま式にに大きくなるものなので、最初の自己紹介での爆笑はできないんです。 なので、ニコってしてもらったりクスッと笑えるくらいにしておきます。 ーーそういった人は、「ボケの内容が悪かった」と考えて、次の場で同じ失敗をしがちです。なので、そもそも構造上ウケてないということを知っておくべきなんですね。他にも失敗例はありますか? 中北:先ほどの「初頭効果」を勘違いしている人がいましたね。その人は、初日の自己紹介の場では、笑顔と明るい発声ができていました。しかし、それが半年持続するという部分を勘違いして、翌日以降は朝からぶすっとした表情で挨拶もしなかったんです。 毎日顔をあわせる相手だったら、毎朝のスタートの6~7秒に初頭効果が生まれるので、そこを理解しないといけませんよね。

通常サイズの10倍以上ある巨大名刺

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前提となる「自己認識」の高め方
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Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

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