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大量閉店計画を進めるイトーヨーカドー。業績悪化をめぐる「2つの理由」

セブン&アイHDの足を引っ張っていた

さて、セブン&アイHDの2023年2月期決算を見てみると全体の営業収益(売上高)11兆8,113億円に対し、ヨーカドーの営業収益は7,293億円しかありません。 店舗数約2万1,000の国内コンビニエンスストア事業(売上高:8,903億円)、約6万2,000超の海外コンビニエンスストア事業(売上高:8兆8,462億円)を合わせたコンビニ事業と比較して小規模であり、HD全体に対する貢献度が低いことが分かります。 こうした状況で株主からは不採算事業であるヨーカドーを売却し、コンビニ事業に集中すべきという声も上がりました。

SCの台頭でじわじわと業績が悪化

2015年度に店舗数182まで拡大したヨーカドーですが、営業収益は以前より低迷が続いていました。2000年代初期に1兆5,000億円台に到達して以降、収益は年々下がり続け2021年度には1兆円をやや越える程度となりました。2022年度は不採算店舗の閉鎖もあって1兆円を大幅に下回り、7,293億円となっています。なお、最終損益については2015年度からほとんどの年で赤字を記録しています。 ヨーカドーの業績悪化が続いた理由は主に2つあげられます。1つ目は大型ショッピングセンター(SC)の台頭です。1991年における大店法の規制緩和、2000年の大店法廃止及び大店立地法の制定がイオンなどのSC誕生に拍車をかけました。 大店立地法では出店審査に店舗面積の規制はなく、郊外に大型SC・アウトレットが次々に誕生しました。SCは商品数、ブランド数でGMSに勝るだけでなくグルメやレジャー要素もあり、特に地方ではGMSの客足が遠のいていきました。ヨーカドーも店舗内の自営比率を下げてGUやカルディなどのテナントを誘致するSC化や、SC店「アリオ」の出店を続けましたが、市場の潮流には逆らえませんでした。
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アパレル事業からの撤退もやむなし…
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経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_

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