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大量閉店計画を進めるイトーヨーカドー。業績悪化をめぐる「2つの理由」

アパレル事業からの撤退もやむなし…

業績悪化の2つ目の要因は安価なアパレルチェーンの規模拡大です。ユニクロやGU、ZARAなどのアパレル店は安いだけでなく流行を生み出すブランドとして消費者を惹きつけました。より価格が安く、品質や見た目が優れる方に消費者が集まるのは自然な流れです。 一方でヨーカドーなどのGMSで売られている服は「お母さんが息子のために買うもの」、「高齢者が買うもの」というイメージが定着し客足が離れていきました。 実際にヨーカドーにおける衣類品の売上高をみると2008年度は2,657億円でしたが、2014年度に2,000億円を下回り、店舗数が最大の2016年度でも1,790億円まで落ち込んでいます。こうした背景もあり、2023年3月にセブン&アイHDの社長はヨーカドーのアパレル事業撤退を発表しました。

立地を活かし、生き残りをかけた戦いへ

ヨーカドーの今後についてセブン&アイHDは2022年度決算で公表しており、(1)不採算店の撤退&首都圏への集中、(2)食品・スーパー事業への集中(アパレル撤退)と、主に2つの方針を掲げています。 HD傘下のそごう・西武百貨店については売却計画が進められていますが、ヨーカドーに関しては現段階で売却する方針は無いようです。 消費者の間でGMSの魅力は低下しているものの、ヨーカドーは首都圏で駅前・市街地という優れた立地(東京都・赤羽駅前、千葉県・柏駅前)を確保しています。アパレル撤退と2階以上のテナント化でGMSの暖簾を下ろしつつも、首都圏のスーパーチェーンとして生き残ることでしょう。 <TEXT/山口伸>
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_
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