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幸楽苑が「4年で100店舗減少」しているのは何故か。好調「日高屋」と明暗が

低価格戦略で全国展開を目指すも…

幸楽苑は主にロードサイドに進出しており、店舗はほぼ直営店です。2023年4月現在、国内に422店舗あり、県別では福島・57店舗、宮城・44店舗と東北の店舗数が多く、東京・29店舗、千葉・46店舗、埼玉40店舗と関東にも進出しています。一方、愛知・3店舗、大阪・2店舗、兵庫・1店舗と西日本にはほぼ進出できていないようです。 同社は最初から全国展開を諦めていたわけではありません。平成の不況が続く中、幸楽苑は2006年に「中華そば」の値段を290円(税抜)に引き下げ、低価格戦略を集客手段とし、全国展開を目指しました。 しかし、中華そばを注文する客が予想以上だったことが利益を圧迫し、店舗展開を継続する余力は失われました。サイドメニューを強化するも、特効薬にはなりえませんでした。 自社工場と店舗の距離が近い東北地方ではコストを抑えることができたものの、新たに進出する地域では集約効果もなく、単なる低価格戦略では利益を確保できませんでした。関西圏は幸楽苑が得意とするロードサイドでも既に「餃子の王将」が抑えています。幸楽苑の京都工場は結局、2017年に他社に売却されました。

ライバルの日高屋と明暗が分かれる

ここ20年の業績をみると2006年以降、幸楽苑の利益率は低調に推移し、総店舗数も2014/3期から2018/3期まで約500店と横ばいで伸び悩みました。人件費・原材料費の上昇が続くなか低価格戦略は限界を迎えてしまったのでしょう。 一方、メディアでは幸楽苑との比較でよく引き合いに出される日高屋は「ちょい飲み」メニューを充実させ、安く飲みたいサラリーマン客をひきつけたこともあり、関東を中心に店舗数を拡大していきました。“ちょい飲み戦略”は駅前・市街地に店舗を構える日高屋だからこそできる戦略であり、ロードサイド店がメインの幸楽苑にはできないやり方です。
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コロナ禍以前からの既定路線だった規模縮小
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経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_

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