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幸楽苑が「4年で100店舗減少」しているのは何故か。好調「日高屋」と明暗が

コロナ禍以前からの既定路線だった規模縮小

近年の業績を見ていきましょう。2019/3期から2022/3期の業績は次の通りです。 【株式会社幸楽苑(2019/3期~2022/3期)】 売上高:413億円→383億円→266億円→250億円 営業利益:16.4億円→6.6億円→▲17.3億円→▲20.5億円 店舗数(ラーメン事業):498店→427店→411店→395店 コロナ禍で閉店が相次いでいるように見えますが、実は以前からの既定路線であり、HD全体の利益率改善とドミナント戦略強化を目的として店舗のスクラップが進められました。人手不足による人件費/物流費の上昇に起因するもので、東海・関東の店舗が主に閉店となっています。 そして規模を縮小し始めようとした矢先にコロナ禍が。休業や時短営業、そして休日の客足減少が追い打ちとなり、売上・利益が共に大幅減となりました。コロナ禍ではテイクアウト・デリバリー需要が牛丼・ファストフード店などの業績を下支えしたものの、やはり汁物には不向きであり、効果は限定的だったようです。 福島・宮城で地盤を固め、関東そして西日本への進出を目指したものの、集客のための低価格戦略はコスト高に耐え切れず勢力範囲は北関東までに留まりました。軍資金もなく、新店舗の収益が見込めなければ出店を続けることはできません。 今後は店舗数を限定し、利益率向上に努めるとしています。なお同社は近年、FC加盟という形で「焼肉ライク」など他社が運営する他業態ビジネスへの参入を進めていますが、HD全体に対する規模はまだまだ小さく、効果は限定的なようです。 <TEXT/山口伸>
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_
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