更新日:2023年04月25日 20:11
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“絶対に落とせない選挙区”は維新に軍配。「自民圧勝」のはずが接戦になった理由

自民の“絶対に落とせない選挙区”は維新に軍配

そして和歌山1区では、自民党候補を破って維新公認の林佑美候補が当選を果たしました。統一地方選の前半戦では、大阪を中心に近畿圏で維新旋風が吹き荒れました。その勢いは後半戦にも及んでいることが窺えます。 和歌山1区は岸田文雄首相が街頭演説の際に爆発物を投げられた選挙区です。岸田首相は選挙戦最終日にも和歌山1区に入り、支持を訴えています。それほど力を入れていたわけですから、自民党にとって絶対に落とせない選挙区でした。 衆参5補選のうち、もっとも激戦になることが事前から予測されていたのが千葉5区です。千葉5区は薗浦健太郎議員が政治資金規正法違反により議員を辞職したことによって補選が実施されることになりました。 千葉5区の補選は、7氏による争いとなりました。それぞれの候補者を見てみましょう。自民党が英利アルフィヤ候補を、立憲民主党が2021年の衆院選でも千葉5区から出馬した矢崎堅太郎候補を、国民民主党が元NHKアナウンサーの岡野純子候補を、共産党が元衆議院議員の斉藤和子候補を、維新が新人の岸野智康候補を、政治家女子48党が同じく新人の織田三江候補を、そして無所属の星健太郎候補が出馬しています。

市川駅で街頭演説を行った「2人の首相経験者」

矢崎堅太郎

市川駅北口で支持を呼びかける矢崎堅太郎候補(左)と応援弁士の野田佳彦元首相(右)。野田元首相は千葉県船橋市が地盤で、千葉県内では絶大な人気を誇る

自民党は、千葉5区に菅義偉前首相や岸田首相といった大物政治家を連日にわたって投入。特に4月21日は、千葉5区内にある市川駅南口で菅元首相が、北口で野田佳彦元首相が同時刻の18時00分に街頭演説をしています。図らずも市川駅を挟み、首相経験者が南北で支持を呼びかけていたのです。 最終的に、千葉5区の激戦を制したのは自民党の英利アルフィヤ候補です。英利候補は昨夏の参院選に自民党公認候補として全国比例で出馬していました。参院選で、英利候補の選挙を取り仕切っていたのは目黒区議の河野洋子さんです。そのため、英利候補は参院選で目黒区を中心に選挙活動をしています。 先の参院選で、筆者は英利候補の街頭演説を取材するために目黒駅まで足を運びました。また、英利候補は東京都北区在住で、北区で不在者投票を済ませたこともSNSで報告しています。 こうした背景を踏まえると、英利候補が立候補するのは東京都北区や目黒区が妥当です。選挙区で言うなら、東京12区や次回の衆院選から新設される東京26区になります。また、英利候補は福岡県北九州市生まれであることを公言していますから、福岡9区や福岡10区という選択肢もあります。
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なぜ「千葉5区」だったのか?
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フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。首相官邸で実施される首相会見にはフリーランスで唯一のカメラマンとしても参加し、官邸への出入りは10年超。著書に『鉄道がつなぐ昭和100年史』(ビジネス社)、『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)などがある Twitter:@ogawahiro

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