更新日:2023年04月25日 20:11
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“絶対に落とせない選挙区”は維新に軍配。「自民圧勝」のはずが接戦になった理由

全国比例で当選したときは社民党の議員だった

というのも、吉田候補は立憲民主党所属の国会議員ですが、全国比例で当選を果たしたときは社民党の議員だったからです。本来、衆参ともに比例で当選した議員は政党を移ることは認められていません。 比例票は政党に対して投票してもらったものです。だから、比例当選した議員が政党を移るのは有権者を裏切る行為になるとともに民主主義の根幹である選挙制度を揺がす行為につながるからです。 それでも、当選後に離党して無所属になることは認められています。また、選挙時に存在していなかった政党へ移ることも可能です。吉田候補が社民党議員として全国比例で当選したときには、まだ立憲民主党は存在していませんでした。 と書くと、不正確です。正確に記せば、現在の立憲民主党は枝野幸男議員が立ち上げた立憲民主党とは別の政党で、立憲民党党と国民民主党をいったん解党し、2020年に新しい立憲民主党を立ち上げたという体裁になっています。

「道義的な責任を果たすため」補選に出馬

枝野幸男議員が立ち上げた立憲民主党と泉健太議員が代表を務める現在の立憲民主党は異なる政党という扱いのため、吉田候補が当選した2019年時点で、現在の立憲民主党は存在していなかったことになります。 政党名は同じでも別の政党なので、全国比例で当選した吉田候補は社民党から立憲民主党へと移籍することが可能で、実際に立憲民主党へと移籍しました。 とはいえ、それはあくまでもルール上の話です。全国比例の用紙に社民党と書いて投票した有権者は釈然としない思いが残っています。そうした道義的な責任を果たすため、吉田候補は議員辞職して補選に出馬したのです。 大分県は旧来から社会党が強い地域と言われてきました。社会党は社民党へと姿を変えましたが、それでも大分県は依然として社民党が強い地域です。そうした背景もあり、吉田候補と自民党から出馬した白坂亜紀候補の対決は接戦になるとの予測が出ていました。実際、選挙戦は接戦になり、結果は白坂候補が当選。吉田候補は涙を飲みました。
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「和歌山1区の事件」がもたらした影響
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フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。首相官邸で実施される首相会見にはフリーランスで唯一のカメラマンとしても参加し、官邸への出入りは10年超。著書に『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)などがある Twitter:@ogawahiro

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