更新日:2023年04月28日 01:55
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「70代、80代の区長が生まれ続ける」東京23区。高齢化が止まらない理由に迫る

長期政権は政治の停滞を生み、暮らしを蝕む

東京23区の区長選は高齢の候補者が立候補する傾向が強く、しかも当選すると長期政権になりやすい傾向があります。同じ人物が長く区長を務めるということは、新規参入が起きにくいことを意味します。 長期政権になると、職員はトップの顔色ばかり見るようになりがちで、それは政治の停滞を生むと言われます。新しい取り組みに消極的になり、どうしても社会環境・時代への変化に対応できなくなります。長期政権は、知らず知らずのうちに私たちの暮らしを蝕むのです。 頭では長期政権の弊害を理解できても、有権者は「どこの馬の骨ともわからぬ人物に区政を任せるわけにはいかない」という感情から、これまで任せてきた区長に引き続きお願いしよう、となってしまうようです。

過去には「8期32年」「6期24年」も

中央区長選を無投票当選した山本泰人候補は2期目を目指した立候補だったので、長期政権にはあたりません。しかし、74歳。若いという年齢ではありません。 ちなみに、前任の中央区長だった矢田美英氏は、8期32年にわたって区長を務めました。8期は明らかに長期政権です。
高際みゆき

新しい豊島区に就任する高際みゆき候補は、小池都知事の秘書を務めた経験がある。高野区政では副区長を務めた

こうした高齢&長期政権は、ほかの区でも見られます。今年2月に在任中のまま死去した豊島区の高野之夫区長は、6期24年にわたって区長を務めました。4月23日に投開票された豊島区長選では、前副区長だった高際みゆき候補が立候補して当選しました。 選挙中、高際候補は街頭演説で「高野区政は継承しつつも、見直す点は見直す」と繰り返し述べています。これは、明らかに高野区政が長期にわたっていたことを意識した演説でした。
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高齢化が止まらない東京23区の区長
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フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。首相官邸で実施される首相会見にはフリーランスで唯一のカメラマンとしても参加し、官邸への出入りは10年超。著書に『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)などがある Twitter:@ogawahiro

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