更新日:2023年04月28日 01:55
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「70代、80代の区長が生まれ続ける」東京23区。高齢化が止まらない理由に迫る

立候補者が少ないのは必然か

仮に都心部に住み続けられるような高所得世帯でも、働き盛りの30代・40代が圧倒的です。そんな世代の人たちは、仕事を休職・辞職してまで政治の世界に飛び込もうと考えません。 なぜなら見事に当選すれば議員として生活を成り立たせることができますが、落選する可能性もあるからです。落選すれば、その時点から無職。明日の生活も覚束なくなります。見事に当選しても、4年後には再び無職になる危機が訪れるわけですから安心はできません。 そうした条件を考慮すると、企業勤めをしている若者が選挙に立候補することは非常に高いリスクを伴った行為と言えます。実家が太いとか自営業・会社を経営しているといった条件が揃っていないと収入を投げ捨ててまで出馬できません。 そして、そんな人は少数です。だから、新しい人は立候補しづらいのです。新しい人が選挙に出なければ、当然ながら同じ人が繰り返し選挙に出ます。こうした環境が、東京23区の区長が高齢化&長期政権化を招いている一因にもなっています。

「東京五輪までは頑張りたい」という声

そのほかにも東京独自の事情として、東京五輪の影響も無視できません。前回の統一地方選は2019年でした。 筆者は20年以上にわたって地方自治体の取材をしていますが、2019年の統一地方選前に多くの区長もしくは幹部職員から「東京五輪までは頑張りたい」「東京五輪を花道にして退任するつもり」といった声を聞きました。 東京五輪という華やかなイベントを区長として迎えたいという気持ちは理解できなくもありませんが、それは自己満足に過ぎません。
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多選を制限する条例は形骸化
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フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。首相官邸で実施される首相会見にはフリーランスで唯一のカメラマンとしても参加し、官邸への出入りは10年超。著書に『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)などがある Twitter:@ogawahiro

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