更新日:2023年05月18日 15:14
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「闇バイト後の人生」憧れた生活とは真逆、刑務所では“地獄”の日々

出所後の厳しい人生

悩む仕事がない。家が借りられない。お金がない。再犯者率は48.6%」  地獄のような刑務所から社会復帰を果たしても待っているのは地獄の日々。そんな現実から逃げたくなり、再び犯罪をしてしまう人間が後を絶たない。  私のSNSには元受刑者から様々な相談が寄せられる。  仕事が決まらない、家が借りられない、銀行口座が作れない、会社に服役していた過去が発覚してクビになってしまった、結婚相手に服役していたことを今さら話すことができない、被害弁済や賠償金が払えず苦しい、お金がない、未来に絶望しかない。  特にメディアで報道された事件、SNSやネットで氏名や写真が拡散された元受刑者は社会復帰がより厳しい現実となっている。名前をネットに打ち込めば一発で事件の概要が出てくる時代。  人間一人ひとりの個を尊重し共存する多様性の時代とは言ったものの、いくら更生をしても前科者はまだまだ排除される世の中なのだ。  弊害はこれだけではない。あまり知られていないと思うが、気軽にアメリカ旅行にも行きづらくなる。懲役1年以上の量刑を下された人は、PCSC協定(重大な犯罪を防止し及びこれと戦う上での協力強化に関する日本とアメリカの協定)により、アメリカと犯罪情報が共有されてしまう。そして、アメリカへ渡航するにはビザが必要となる。  こういった疎外感から孤独になり、自分は必要のない人間だと感じる。人を羨み妬む。まじめに生きるのが馬鹿らしくなり、お金もなくなり、再び犯罪に手を染めてしまう。  出所して3日後、“出し子”で捕まった。  前刑では詐欺、今回は強盗で捕まった。  出所したがお金がなく窃盗をして捕まった。  そんな人間を私は留置場や拘置所でたくさん見てきた。

罪を犯せば“破滅”するしかない

 そして今年、衝撃的なニュースを見た。同じ釜の飯を食べ、刑務所で共に更生を誓った元受刑者が殺人容疑で逮捕された。その元受刑者とは1年間同じ刑務所の職業訓練で一緒だった。熱心なキリスト教信者で、聖書を毎日読んでいた。聖書の言葉の素晴らしさを私に教えてくれた人物だった。人のために生きるとあれだけ言っていたのに、なぜ殺人を犯したのか……。その真相は今も闇の中だ。  罪を犯すということは、他人を傷つけ自分自身も傷つける。つまり“破滅”するしかない。  私も破滅を経験した人間。私のように罪を犯し、他人に迷惑をかけ、後悔することは避けて欲しい。 <文/フナイム>
2015年特殊詐欺事件主犯として逮捕。5年4ヶ月の懲役を終え、現在は更生支援活動家としてSNSやメディアを中心に犯罪撲滅活動を行う傍ら、「レンタル元受刑者」として犯罪被害者や加害者家族から相談も受けている。Twitter:@funaim5
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