更新日:2023年06月16日 16:06
お金

「焼き餃子280円」は安すぎる?店舗激減「テング酒場」が陥るジレンマ

てんぐ大ホールへの転換はどう転ぶか

 飲食店の販管費率が競合と比較して高い理由は、店舗の売上高がその規模に対して足りていないか、無駄な経費が多すぎるか、その両方のどれかに該当します。テンアライドは3つのうちの1つ目、売上高が店舗規模に対して十分ではないことが要因として大きいのではないかと考えられます。  テンアライドはテング酒場の一部をてんぐ大ホールという店舗に転換しつつ、新規出店を重ねています。てんぐ大ホールは、2022年3月期に5店舗出店(3店舗は業態転換)しました。この店舗は食堂と居酒屋を融合したもので、食事と飲み会・宴会需要の受け皿となる二毛作業態です。

人件費と家賃が重くのしかかる

 てんぐ大ホール最大の特徴が、名前の通りの大型店であること。銀座店が123席、新宿店が121席、八王子店が130席と、100席を超える店舗がほとんどです。  そして、食堂を兼ねているため、昼から23時ごろまでフル稼働します。その分、人件費がかかります。つまり、大箱なので家賃が高く、人件費の負担も重くなっているのです。  テンアライドが営業利益を出していた2019年3月期と、2023年3月期の売上高に対する人件費と家賃の比率を見ると、人件費が4.5ポイント、家賃が2.5ポイント上昇しています。
テング酒場

※決算短信より筆者作成

 テンアライドは2023年3月末時点で、てんぐ大ホールを12店舗出店しています。大箱、二毛作化を更に推し進めているのです。
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黒字予想を出しても株価が好転しない
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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