更新日:2023年06月16日 16:06
お金

「焼き餃子280円」は安すぎる?店舗激減「テング酒場」が陥るジレンマ

黒字予想を出しても株価が好転しない

 テンアライドの市場の評価も高まりません。2024年3月期は1億8000万円の営業利益を予想しました。しかし、株価は上がるどころか下がりました。6月9日(執筆時)では252円をつけています。  実はテンアライドの行く末と株価は密接な関係にあります。業態転換や閉店などを進める費用を調達するため、SBI証券に対して新株予約権を発行しました。新株予約権は権利を行使することで資金が得られるもの。  すべて行使されると、テンアライドは21億2500万円の資金調達ができます。ただし、下限行使価額が228円に設定されています。現在の株価から24円下がると下限に抵触するのです。下限行使価額は164円に下方修正することができますが、調達額には影響が出るでしょう。

料理の付加価値を上げる取り組みが必須に

 テンアライドは「良いものを安く、早く、清潔に、最高の雰囲気で」をテーマとして店舗を展開しています。原点とも言うべき経営姿勢を現在も貫いており、特に料理のクオリティとその安さには目を見張るものがあります。そのため、根強いファンが多くいることも事実です。  しかし、今後も赤字が継続するようなら、価格の見直しが必須となるでしょう。大戸屋では980円で提供されている「さばの味噌煮定食」は890円。そして「焼き餃子」は、てんぐ大ホールが6個で280円、博多劇場が418円。むしろ安すぎるのです。  新型コロナウイルス感染拡大以降、飲食店に足を運ぶハードルは上がっており、安いからふらりと立ち寄るというよりも、何らかの目的を持って来店するケースが増えました。テンアライドは、集客のフックとなるコンテンツ(料理)を開発して単価を上げるという、新たな挑戦へと足を踏み入れなければならないのかもしれません。 <TEXT/中小企業コンサルタント 不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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