中国人観光客の減少も織り込んで考えるべき

「中国人観光客が戻ってきておらず、以前のような爆買いが見られないのが最大の懸念点。また、中国内の経済状況も低迷しており、仮に来日しても以前と同じ消費行動をするかわかりません。ホテルのドーミーインを運営する共立メンテナンス(東P・9616)なども株価が跳ね上がりましたが、今は落ち着いています。来年からの新NISAで、多くの人が株を買うようになれば底上げ感はあるでしょう」
JNTOによると’23年1~4月までの訪日外国人約674万人のうち、中国からの訪日客数は約3.7%。まだまだ全盛期の水準には程遠い。
「今のところ中国人の爆買いが沈静化しているとはいえ、外国人が行きやすい場所というところではやはりドラッグストア。注目は化粧品メーカー、製菓メーカーですが、なかでも海外展開が早い企業がおすすめといえます」
その上で、安定的かつ総合的に注目できる銘柄を教えてもらった。インバウンドの波を見極めて、しっかり乗りこなしたい。
今注目の、インバウンド銘柄を紹介する。
①ANA(東P・9202)
’19年末から株価は6%下がっているが、業績は同年の水準まで回復しつつあり、株価も戻りつつある。
②花王(東P・4452)
コロナの影響を大きく受けたヘルスケア分野のなかでも花王は今期68%減益だが、むしろ長期視点で保有を。
③寿スピリッツ(東P・2222)
観光土産メーカー。4~6月期(第1四半期)の売上高は前年同期比45.6%増、営業利益は同2.7倍と躍進。
④JR西日本(東P・9021)
鉄道株のなかで唯一、出遅れている。’19年の年末にかけて株価が上がった反動か。今後の上昇に期待。
⑤カルビー(東P・2229)
明治、森永、江崎グリコなどお菓子メーカーはどこも有望だが、海外展開が早いカルビーは期待が持てる。
⑥Jフロントリテイリング(東P・3086)
百貨店業界の中で回復が遅れているが、業績は第1四半期34.5%増。短期業績でも安心感が強い。
⑦ロート製薬(東P・4527)
インバウントにおける医薬品需要のなかでも主に中国人観光客から目薬の人気が高く、化粧品も扱っている。
⑧富士急(東P・9010)
同社は’23年3月期連結経常利益が前期比8.2倍、’24年3月期も前期比38.8%増の見通し。

SBI証券投資調査部長・鈴木英之氏
【SBI証券投資調査部長 鈴木英之氏】
SBI証券入社後、ウエルスアドバイザーへの転籍を経て現職。ラジオNIKKEI(月曜)、ストックボイス(木曜)などに出演。コラム寄稿も行う

証券アナリスト・栫井駿介氏
【証券アナリスト 栫井駿介氏】
大手証券会社勤務後、’16年につばめ投資顧問を設立。著書に『1社15分で本質をつかむ プロの企業分析』(クロスメディア・パブリッシング)など
取材・文/川口友万 写真/フォトAC