仕事

個人経営の居酒屋を見下す迷惑客。「安いからしゃーないか」発言を後悔するまで

いつものように料理をけなしはじめた迷惑客

「ただ、2人はガタイがよくてヤンチャな印象の風貌。それもあってか、2人のテンションが上がってくると、店内が静まり返ってしまうのも悩みのタネでした。そんな状態が3か月ほど続いたある日、例の迷惑男性客2人がいつものように来店。料理をけなしはじめました」  その日は迷惑客の男性2名と、いつも食べに来てくれる華奢でおとなしい20代の男性がカウンターで食事をしているだけ。ほかの常連客がいないぶん店内は静かで、男たちの愚痴はいつもより嫌なぐらいよく耳に入ってきた。 「このまま嫌な時間がしばらく続くのかと、母と顔を見合わせたとき、片方の男性が『まぁ、マズイけど、安いからしゃーないか』と爆笑。次の瞬間、カウンターに座っていた常連客のT史さんがスッと立ち上がったのです」  そして、嫌なことばかりを言ってくる迷惑客の席まで歩み寄り、「マズイとか、安いから仕方ないとか文句ばっかり言ってますけど、よく来てますよね?」と聞いたのだ。迷惑客は、軽く腰を浮かせてケンカ腰しになると、「ぁあっ?」と凄む。

癒し系男子VS猛獣の店内

居酒屋「店内には緊迫した空気が流れましたし、常連客の男性は20代で華奢な、いまふうの癒し系男子。相手は、まるで猛獣。ウチの店のためにケガをさせるわけにはいかないと、思わず手に持っていたキッチンバサミをそっと握りしめたほどです」  けれど常連客はまったく動じていない様子で、「嫌なら、来なければいい。この店だって、あんたらに言いたい愚痴はいっぱいあると思いますよ?」と、冷静に、そしてキッパリとそう続けたのだとか。常連客の言葉は、早生さんが内に秘めていた想いそのものだった。 「そのあとすぐに迷惑客の1人が、『お前、ふざけんなっ……!』と怒鳴りながら常連客に掴みかかったのですが…。常連客はサッとかわして迷惑客の腕を掴むと、『昔、格闘技やってたんだけど、外で勝負してみます?』と静かに言ったのです」
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安くして文句を言われるのは割に合わない
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ワクワクを求めて全国徘徊中。幽霊と宇宙人の存在に怯えながらも、都市伝説には興味津々。さまざまな分野を取材したいと考え、常にネタを探し続けるフリーライター。Twitter:@natukawanatumi5
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