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「男なんだから母親を助けるのは当然」生活保護で暮らす30歳の首を絞めた“男らしさの呪縛”。幼少期から虐待されていたのに

“稼ぎ頭は男性”自らを弱者と認められない日本ならではの事情

「僕自身は、男性と女性でそんなに差があると思いたくないんですけど、それでも『男たるもの稼ぐべきだ』って思うこともあるんです」  人によって強弱はあれど、日本にはまだ「男性は女性よりも稼ぐべきだ」「男たるもの、弱みを見せてはならない」といった風潮がある。生活保護の申請は、この2つと矛盾する。自分は弱者であり、福祉の支援が必要だと認めなければならないからだ。  そのため、生活保護以下のレベルで暮らしているにもかかわらず、実際に受給できているのは7人に1人だけである。みさこさんも「正直、自分が弱者であるとは認めたくないですね。弱者かぁ……と思ってしまう」と、胸中を語る。

無職の男性が自殺へと追い詰められる

 日本では、自殺者のうち約半数が無職だ。また、同程度の割合で身体や精神の健康に問題を抱えていることがわかっている。つまり、心身に不調を抱えた人は、生活保護や福祉に頼る前に、死を選んでしまいやすい現状がある。自殺者のうち、67%は男性である。つまり、男性は追い詰められたときに、より自死を選びやすいのだ。 弱者男性パンデミック 9月に実施したSPA!のアンケート調査でも、弱者男性の75%が弱者になった理由を「自分が悪い」と挙げている。しかし、育った家庭環境が荒れていたり、病気で働けなくなったりすることは、全く本人に原因のない要素だ。それでもなお、弱者男性が自責を選んでしまうのはなぜか。そこには、男性ならではの“頼りづらさ”がある。
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生き残るためにも自分が弱者であると認められる強さを
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ライター、経営者。主にキャリアや恋愛について執筆。5000人以上の悩み相談を聞き、弱者男性に関しても記事を寄稿。著書に『弱者男性1500万人時代』(扶桑社新書)『ハピネスエンディング株式会社』(小学館)。X:@10anj10

弱者男性1500万人時代 (扶桑社新書)『弱者男性1500万人時代』 (扶桑社新書)

データで読み解く“弱者男性国家”ニッポンの現在


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