日本人の大半がウクライナ侵略を「予測できなかった」理由が絶望的だった
日本人が陥りがちな「正常化バイアス」の危険度
震災や原発事故、またコロナ禍を経て、「正常性バイアス」という言葉が有名になりました。
危機の徴候が現れていても、ちょっとした変化なら「たいしたことない」「誤報だろう」「安心なはずだ」と無視してしまう認知的な悪いくせ(バイアス)を指すそうです。
さしずめ2022年の2月には、多くの日本人が「自分は間違っていた」「私にはバイアスがある」「未来を見通す力がない」と思い知らされ、いやな気持ちにさせられたのではないでしょうか。
いやな気持ちになったのなら、二度とこうした間違いは犯さないぞと奮起して、それをバネにして勉強し直せばよいのですが、ふつうの人はなかなかそんなことはできません。
まず努力ができません。また、それまでの自分を否定することができません。自分の間違いを直視するという、しんどいことができません。
このままでは近い将来、かりに日本のすぐ近くで戦争が始まったとして、あわてずに、冷静な世論を形成し、有効な政策立案や必要な国際貢献ができるでしょうか。
あわてるあまり、とんちんかんなことを言ったりして、いたずらに社会を混乱させないといいのですけど。
というのも、いまだってこんなに侵略行為を見せつけられているのに、「ウクライナはネオナチだ、というロシアの主張は正しい」「この戦争はアメリカやイギリスがウクライナをけしかけて起こした」「プーチンは欧米の軍産複合体を操る影の国家と戦っているのだ」といった言説にとらわれる人がたくさん出ているからです。
勉強する努力を怠ったり、しんどいことを回避し続けていると、このような安易な言説に引き寄せられてしまうようです。
SNSで瞬く間に「言説」が広がる時代
こうした理屈を信じる人はけっして少なくありません。
YouTubeの暴露系チャンネルの視聴数や、SNSでのこうした言説のシェア数は実際多いです。
また、SNSの影響力は閲覧数以上に大きいものです。最近、4、50代の人が実家に帰ると「7、80代の親が陰謀論に染まっていた」と驚くことが多いそうですね。
ネットで自分なりに勉強した結果とはいえ、なぜこんなことになるのでしょうか。
東洋史家。1952(昭和27)年、和歌山県生まれ。京都大学文学部卒、大阪大学大学院博士課程満期退学。博士(学術)。専攻は東洋史。故・岡田英弘(東京外国語大学名誉教授)からモンゴル語・満洲語・シナ史を、山口瑞鳳(東京大学名誉教授)からチベット語・チベット史を学ぶ。東京外国語大学、常磐大学、国士館大学、東京大学などの非常勤講師を歴任。『真実の中国史[1840‐1949]』『真実の満洲史[1894‐1956]』(ビジネス社)、『モンゴルの歴史』(刀水書房)、『最後の遊牧帝国』(講談社選書メチエ)、『世界史のなかの満洲帝国と日本』『中国・韓国の正体』(ともにWAC)、『満洲国から見た近現代史の真実』『皇帝たちの中国史』(ともに徳間書店)、『世界史のなかの蒙古襲来』、『日本人が知らない満洲国の真実』『朝鮮半島をめぐる歴史歪曲の舞台裏』
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