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“理想の家族”以外には精子提供を制限…「現実に即さない法案」が引き起こす最悪の事態

いまでこそレインボーの国アメリカでも…

この点、アメリカはちゃっちゃとシングルへの精子提供を認めた。諸手をあげて多様な家族を歓迎したわけでは決してない。いまでこそレインボーの国アメリカは、結婚を重視するキリスト教の家族観が当時はかなり色濃かった。それでも精子提供の対象を広げたのは現実に目を背けなかったからだ。 親の行為に賛同できなくても生まれてくる子にその責任を負わせるべきでないという保守派。 “多様な家族”の理想をフルスペックで押し通せなくてもできるだけ多くの子に親との切れない関係をというリベラル派。 理想の家族像が大きく隔たっても現に生まれ続けている子どもを無視しないという現実的な一点で両者は妥協した。 抽象的な「子どもの幸せ」をああだこうだと議論しがちな私たちは、いまそこにいる子どものための具体的な一歩を積み重ねてきた国から学べることもあるのではないか。 文/山口真由 ※11月14日発売の週刊SPA!より
1983年、北海道生まれ。’06年、大学卒業後に財務省入省。法律事務所勤務を経て、ハーバード大学ロースクールに留学。帰国後、東京大学大学院博士課程を修了し、’21年、信州大学特任教授に就任
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