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「世界一裕福なのに国民は貧乏な日本」に誰がした?“東大史上初の経営学博士”が明かす不都合な真実

円高とデフレが作った「世界一裕福なのに国内は貧乏な日本」

当時も今も正しく認識されていないが、実は円高には副作用があった。一般には「円高メリット」と呼ばれている、海外向けに投資したら海外から輸入したり、海外で消費する際には有利だという状況がそれである。 日本はプラザ合意後の円高・ドル安を是正できず、反対に円高で国際的に強くなった円で海外に投資したり、円高不況対策の金融緩和に乗じて国内の不動産や株や国債に投資したりした。これが後のバブルとその崩壊につながったわけである。 しかし、これはメリットでも何でもない。 日本国内のお金を吸い上げて海外にばら撒くわけだから、国内が貧しくなるのは当たり前である。円高に突入して以降、日本の対外純資産は32年間も世界一をキープしているのがその証拠だ(財務省『令和4年末現在本邦対外資産負債残高の概要』)。日本は国内にお金を回さず、世界に資産を持つという、「対外的には世界一裕福なのに国内的には貧乏な国」という矛盾した状況に自ら進んでいった。 すなわち、円高とデフレによって円が強くなったことで、働かずにカネでカネを生むことが簡単にできるようになってしまった。それが「ヒトよりカネが大事」な投資思考が蔓延する原因となったと考えられる。

平成時代にカネ至上主義が覇権をにぎった理由

こうして日本は「投資をするだけで製品・サービスを作らない国」に向けてひた走った。 だが、「ヒトよりカネが大事」ならば、それを管理するヒトはコストでしかない。日本の労働者は、価値創造(=顧客をはじめとした社会に価値をもたらす経営の主眼)の主役という立場から、投資に付随するただの管理コストという立場に追いやられてしまったのである。 しかも、デフレ下の経営では、実際にカネの価値が上がってしまった。そもそも、デフレの定義に「カネの価値が上がること」が含まれている。このとき、希少資源を集める会社が経営上も成功することは、経営学研究において何度も確かめられた事実である。 そのため、希少資源となったカネに好かれる経営者、投資家受けのする経営者、生まれたときからカネに恵まれていた経営者が、経営上も成功してしまったのである。 読者の皆様にとっても、「デフレ下の平成時代に名を挙げた経営者」のイメージは、大組織を作り上げる人間味あふれるリーダーというよりも、知名度のわりには何の仕事をしているのかよくわからない投資家的なリーダーという印象があるのではないだろうか。
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アメリカは「日本から学んだヒト重視の経営」にシフト
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