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「世界一裕福なのに国民は貧乏な日本」に誰がした?“東大史上初の経営学博士”が明かす不都合な真実

アメリカは「日本から学んだヒト重視の経営」にシフト

日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか

『日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか』(光文社)

これは、昭和の円安・インフレ期に台頭した経営リーダーが、松下幸之助や本田宗一郎のような他人から「オヤジと一緒に働きたい」と慕われるような人物だったのとは好対照をなす。 ここまで述べてきたように、日本はインフレからデフレに大きく触れる中で、ヒトとカネの相対的な価値が入れ替わり、ヒト重視の経営思考からカネ重視の投資思考へと集団パニック的に移行してしまった。しかし、そもそも投資思考は大きな格差を生み日本の文化や制度と共存しえないものだった。だからこそ現代日本には多くの歪みが生まれているとも考えられよう。 なお、過去の日本の「カネよりヒト」な経営の優位性はアメリカ大統領にも認識され、日本の経営思想を取り入れたアメリカ企業を大統領が直々に表彰するマルコム・ボルドリッチ国家品質賞が創設されたほどだ。 さらに補足すれば、レーガン大統領はプラザ合意時の大統領であり、マルコム・ボルドリッチはレーガン大統領の右腕として円高・ドル安を強硬に主張した商務長官だ。アメリカは片方でプラザ合意や様々な協定で日本企業の成長の芽を摘みつつ、片方で日本企業の強みを冷静に取り入れていたわけである。 <TEXT/岩尾俊兵>
慶應義塾大学商学部准教授。平成元年佐賀県生まれ、東京大学大学院経済学研究科マネジメント専攻博士課程修了、東京大学史上初の博士(経営学)を授与され、2021年より現職。第37回組織学会高宮賞著書部門、第22回日本生産管理学会賞理論書部門、第36回組織学会高宮賞論文部門受賞。近刊に『世界は経営でできている』(講談社現代新書)
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