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飲食店を悩ます“迷惑な老人客”の実態。泥酔して客席で「まさか」の行動に…

あわよくば食い逃げをはかろうとする

居酒屋 居酒屋チェーンで店長を勤めるAさんは「老人客の食い逃げは多い」という。 「老人の1人客が入ってくると、注意して見るようにしてますね。トイレ行くフリとか、電話するフリして帰っちゃうんです。それで捕まえると、『あ、お金、う〜ん、払ってなかったっけ?』とか酔ったふりしてとぼけるんです。それでお金払ってもらおうとすると、財布のお金がなくて、『あれ〜、オレ、お金忘れちゃったから、明日持ってくるよ』とか言うんです。その場で払ってもらえない場合は、即警察に通報するのがルールなので、問答無用で110番しました」  Aさんによると「カバンを持っていない、店の中でも上着を脱がない老人のお客さんは要注意です」と話す。また、前出のKさんのように奥さんや親族が来るケースもあるという。その場合、現場が修羅場になることもあるとか。

誰も聞いていない自慢話

 都内で鮨店を営むYさんは常連の老人客の自慢話にウンザリ顔だ。 「月に2〜3回くらい来る地元のじいさんなんだけど、とにかく自慢話がひどい。出すネタ、料理、お酒ととにかくいちいちうるせえの。『昔、出張で富山に行って地元の社長に連れてってもらった、なんてことのない居酒屋で食べたブリの刺身が本当においしくてね。あれを越える寒ブリには会ったことがない』とかね。 それって、ウチで出してるブリはそのブリ以下かよって。大手の商社で働いていたらしく、出張でいろんなところに行ってたみたいで、いろんなもの食って飲んでるし、経験もあるからどんなことにでも食いついてくるんだよ。ホント、迷惑極まりない(苦笑)」  他の客に迷惑がかかることもしばしばあるから、さらに面倒だとYさんは頭を抱える。 「他のお客さんの会話に割って入るんだよ。それで自慢話。困った顔しちゃうお客さんもいるから、ヤバいなって思ったら会話に入って引き離すようにしてる。でも、忙しい時はできないから、面倒くさいったりゃありゃしない。とはいえ、しっかりお金は落としてくれるし、何かあると出前もしてくれるから、強く言えないんだよね……」  客の話を聞くのも店主の仕事、それも太客となればなおさらだろう。我慢を重ねるYさんのような店主は、意外と多いのかもしれない。 取材・文/谷本ススム
グルメ、カルチャー、ギャンブルまで、面白いと思ったらとことん突っ走って取材するフットワークの軽さが売り。業界紙、週刊誌を経て、気がつけば今に至る40代ライター
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