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家を追い出された20代弟が帰らぬ姿に…「できることはもっとあった」姉の無念

両親との溝は埋まらないまま…

 兼本さんはKさんのことを気にはしていたが、この頃ちょうど自身の結婚話が進んでいたこともあり、実家を出て同棲をはじめることになる。兼本さんは、実家から1時間以上も離れた場所に引っ越ししたが、週に1度は戻ってKさんと話をした。 「Kも、私には相談しやすいと言ってくれたので、『何かあったら、いつでも電話して』と伝えました。Kにとって、子供の頃からの友達が尋ねてきてくれることは、心の栄養と同じだったと思います。でも、それを両親に咎められ、しんどいと言っていました」  さらにKさんを追い詰めたのは、パソコンが壊れ、高校の頃からバイトで貯めてきた貯金が底を尽きかけたこと。まずは携帯電話の通話料などが払えなくなり、子供の頃からの友達と連絡を取る手段がなくなった。そんなKさんを、『情けない』『恥ずかしい』と罵る親。 「でも、両親もKを追い詰めようとしたわけではありません。両親は、働かざるもの食うべからずという精神のもとで生きてきた、古い考えの田舎人間。怒ることで本人のヤル気を奮い立たせようとしていました。だから私も、両親に強くは言えなかったのです」

強硬手段に出た父に恐れおののく

 兼本さんは、「Kにとって部屋のドア1枚だけが、自分を守ってくれるモノだったのではないか」と話すが、このドアも、父によって破られてしまう。父にとっては、息子を立ち直らせるための強硬手段だった。Kさんの部屋のドアを破壊し、乗り込んだのだ。 「あとから母に聞いた話では、Kは部屋の隅で毛布にくるまり、プルプルと震えていたようです。父はKに、生活を正すよう怒り続けました。でも、Kは毛布にくるまって震えたまま。そんなKに、父が『出て行け!』と怒鳴ってしまったのです」  いちど怒鳴ると、父は止まらなかった。「実家があるから、ぬくぬく生活してられるんだ!いますぐ出て行け!」「働く気がないなら、どこかで野垂れ死んでしまえ!」と、怒鳴り続ける。そして疲れ果て、両親が別の部屋へ行った隙に、Kさんは部屋を飛び出した。
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500円玉を握りしめて遺体で発見
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ワクワクを求めて全国徘徊中。幽霊と宇宙人の存在に怯えながらも、都市伝説には興味津々。さまざまな分野を取材したいと考え、常にネタを探し続けるフリーライター。Xアカウント:@natukawanatumi5

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