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「あるある探検隊」でブレイクしたレギュラーの今。“月収ゼロ”時の福祉施設訪問が転機に

あるある探検隊を高齢者向けにカスタマイズ

レギュラー

ネタを織り交ぜたレクリエーションは高齢者にもウケるという

――具体的にはどんなことをされているんですか? 西川:まず、あるある探検隊の動きを一緒にやってもらいます。座っている方には手や足だけ動かしてもらって。そのあとに、あるあるを言って「共感できた方は拍手してください」と。 松本:高齢者さん向けのネタだと「ぼっとん便所に人落ちる! あるある探検隊!」とか(笑)。  西川:拍手をいただいた方に、「経験があるんですか?」と話しかけていきます。思い出しながら話してもらうと、認知症の進行を緩やかにする脳の訓練「回想法」に繋がるんです。 松本:かれこれ20年以上続けてきた芸人としての経験を生かした、「僕たちだからこそできること」をやっているつもりです。 ――高齢者の方からの評判はどうですか? 西川:真顔でジーっと見られているだけだと「スベってんな……」と思うこともあります。ただ、終わったあとに「楽しかったよ!」と言ってもらえることも珍しくありません。 松本:スタッフの方からも「あんなに笑っているところ、初めて見ました」と言われるんですが、僕らからしたら「そんな笑ってなかったやん」って(笑)。 西川:高齢になると、本当は楽しくても表情に出にくいのかもしれませんね。

芸人ならではの会話テクニックで心をつかむ

レギュラー

時には講演会で話す機会も

――一方で、スタッフの方からの評判はいかがですか? 松本:高齢者の方の気持ちを掴む「お笑い芸人の技術」を教えてほしいと、よく言われます。スタッフの方は、介護のプロであって、人前に立ってそこで関係性をつくるプロではないわけですから。 西川:スタッフさん向けの講演会のお仕事もいただくようになりましたね。 ――講演会ではどんな内容を話すのですか? 松本:芸人は笑ってもらうために、まず自分たちを下げます。でも、介護者と利用者の関係性は、お世話をする側とされる側なので、利用者さんよりスタッフの立場が上になってしまってるんですよ。さらに、レクリエーションでは指示する側と指示通りに動く側という、先生と生徒のような構図になります。だから、その関係性を逆転させるところから始めましょうと。 ――芸人さんなら、例えば貧乏や容姿など、“自分を下げる武器”を持っていますが、スタッフの方だと難しくないですか? 松本:「地元の話」を展開していきます。例えば練馬に行った時は、僕たちから「練馬の名物はなんですか?」と尋ねると「練馬大根だよ」と教えてくれますよね。そこから、「練馬大根って普通の大根と違うんですか」とラリーが続いて……。これならマイナス点をあえてさらけ出さなくても、利用者さんが教える側になる構図ができるんですよね。
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普段のネタもウケるようになった
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Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

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