更新日:2024年04月22日 11:13
仕事

離職率9割のベンチャー企業に「全く売れない」俳優が転職、年間50億円のトップセールスに躍り出るまで

「やるしかない状況」から起業の道へ

ビル そんななか、会社を辞めるきっかけになったのは、“ある違和感”でした。  入社したての頃はオフィスビルの区分所有の利回りが5%程度だったのが、1年ごとに1%ずつ下がっていくのを目の当たりにして。  利回りが下がれば、あらゆることに支障をきたすと思い、新卒でも売ってこれる新しいコンセプトの投資商品を会議で提案したものの、案の定、却下されてしまいました。  だったら自分でやるしかない。そう思い、会社を飛び出したわけです。  ですが、半ば“見切り発車”で辞めてしまったこともあり、独立したはいいものの、何をすればいいかわからない状況が数ヶ月続きました。このまま何もしないと納税ができない。  結局、消費者金融で200万円を借りて返済していく選択肢をとったのですが、結果を出さないと借金が増え続けてしまうので、個人事業として不動産売買を始めました。  そこからいくつか受注を重ねていくうちに、「一人でも取引できる」と思い、2018年に今の会社を創業したのです。

手探りの会社経営

 会社を辞めて起業してから苦労した点が2つあります。  それは「会社の看板があるからこその信用」と「仕入れから顧客開拓、銀行のやりとりを全て自分でやらなくてはならない」ことです。  売り方は理解していても、物件の探し方もわからなければ、契約書の作成の仕方もわからない。本当に自分の未熟さを思い知らされました。  最初の頃は、物件を保有する業者に契約書の作成をお願いしていたくらいです。とにかく、わからないことが多すぎて問題が山積みでした。  それでも物件を売ることに注力して会社経営を続けていくなかで、3年目にバックオフィス業務を担当する社員を初めて採用しました。物件の売主の担当者と仲良くなり、飲み仲間になったのですが、そこから人材を紹介してくれて、私の会社へ入社してくれたのです。  1号社員が入ってから3ヶ月後には、現在の名古屋支店を任せている右腕的存在の社員が入社するなど、人材にも恵まれ、今年で7期目を迎えることができました。  こうして紆余曲折ありましたが、景気変動や天災など、いつ何が起きてもおかしくない今の時代に「区分オフィスビル投資」という“ローリスク・ミドルリターン”の方法があると、より多くの人に知っていただきたいと思っています。 <構成・文/古田島大介>
株式会社Agnostri(アグノストリ)代表取締役社長。1989年、東京都出身。小学校から高校1年まで野球を続け、厳しい監督に鍛え上げられる。22歳で事業系不動産に特化した不動産売買の会社に就職。中小企業の経営者をターゲットに、ビル売買の営業開拓を実施。その後大阪支店・名古屋支店の立ち上げに携わる。最終的に東京で課長職に就任。会社員時代は1人で50億円を販売しトップセールスに。2018年に独立し、東京都千代田区にアグノストリを設立。会社設立後、年間100億円ほどの売買を締結。著書に『2%の人しか知らない、3億円儲かるビル投資術』(ぱる出版)、『御社の新しい収益基盤を構築する 区分オフィスビル投資術』(ビジネス教育出版社)がある。X(旧Twitter):@agnostri_aoki
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