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「気がつくと2時間泣き続けていました」女性漫画家が語る、毒親・性被害のトラウマと回復

トラウマが神経の発達を阻害する

見落とされた[第4の発達障害]

写真はイメージです

幼少期のトラウマ体験が発達障害に似た症状を誘発するのはなぜなのか。 精神科医の生野信弘氏は、「小児期に繰り返し受けたトラウマ体験により、『交感神経』と『背側迷走神経』が誤作動を起こすから」だと話す。 「交感神経は、過剰に働くと、不眠、イライラ、集中力の低下、過度な警戒、小さな物音に驚き神経質になるといった『過覚醒』状態になります。一方、『背側迷走神経』は感覚・感情を麻痺させたり、思考や体の動きを制限したりする『低覚醒』、つまり、“フリーズ”を引き起こす神経です。 トラウマを抱えていると、大人になってもさまざまな場面で『過去に起きた危機的状況と同じ』だと体が認識してしまい、交感神経や背側迷走神経が刺激され、頻繁に過覚醒・低覚醒という状態を繰り返してしまうのです」
見落とされた[第4の発達障害]

日常生活において自律神経は「適切な覚醒状態」を保つ必要があるが、トラウマにより発達を阻害された自律神経は、不必要な場面で「過覚醒」や「低覚醒」を起こしやすい

また、過去に受けたトラウマ経験は発達障害だけでなく、うつ病や双極性障害など、さまざまな診断に該当するような症状をもたらすこともあるという。 「トラウマ経験に焦点が当たらないまま、うつ病と診断され長い間抗うつ剤を服用し続けても、なかなか回復に向かわないという患者さんも多くいるのが現実です」

発達障害の診断にひそむトラウマ関連疾患

また、トラウマ関連疾患のひとつに「複雑性PTSD」と呼ばれるものがある。 「複雑性PTSDは、’19年に世界保健機関(WHO)の診断ガイドライン『ICD-11』に登録されました。過去に受けたトラウマ経験が心身に影響を及ぼすことが正式に認められた形です。 複雑性PTSDと診断するには小児期に繰り返し受けた性的または身体的虐待などの『出来事基準』『再体験症状(フラッシュバック)』をはじめとする『PTSD症状』、『自己組織化障害』、そして著しい『機能障害』の4つをすべて満たしている必要があります。しかし、診断が下りない人でもトラウマ経験により不調が生じることはあります。 思い当たる出来事や症状がある方は、トラウマ関連障害の診断と治療を専門に行っている医療機関にあたるといいでしょう」 生野氏が解説する通り、トラウマ経験による症状や表出する言動は、本人の生まれもった気質ではなく、後天的なものだ。一方、文部科学省が発表した資料によると、発達障害と診断される子どもの数は’21年の時点で15年前の約16倍にも増加。大人の発達障害も増えているという。 「私はそのなかに、多くのトラウマ関連疾患が潜んでいると考えています」 子どものころの経験が大人になっても癒えない傷となり、その後の生活に影を落とすことがあるのだ。 【精神科医・生野信弘氏】 医学博士、精神科専門医・指導医。対人関係療法による過食症の治療およびトラウマ関連疾患の診断と治療を専門としている。最新刊は『トラウマからの回復
見落とされた[第4の発達障害]

精神科医・生野信弘氏

取材・文/SPA!第4の発達障害取材班 図版/ミューズグラフィック
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トラウマからの回復トラウマからの回復

ミスが多い、集中力が続かない、癇癪を起こす、先のばし癖……もしかしてその裏には「トラウマ」が隠れているかもしれません。

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