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「つばさの党」はなぜ今逮捕されたのか。背景に潜む「小池都知事の存在」を考える

つばさの党の突撃行為は“誰得”だったのか?

各陣営はつばさの党への対策として、街頭演説の日程をHPやSNSで非公表にしています。その影響で、東京15区の有権者が候補者の政策を聞きたいと思っても容易に街頭演説に足を運べなくなってしまったのです。 そのほかにも、つばさの党は他陣営の選挙事務所に押しかけるという“迷惑行為”をしています。選挙事務所に集まっていた他陣営の支援者とつばさの党のスタッフの衝突が起き、警察が出動する騒ぎも起きました。 つばさの党の過激な選挙活動が根本候補の票を増やす効果につながったとは思えず、逆にほかの候補者の票を減らす効果になっていたのかも怪しいところです。 昨今、選挙に出馬する陣営がYouTubeなどにその様子を配信して広告収入を得ることも珍しくありません。他陣営に突撃することで目立ち、PVを稼いでいるという指摘もありますが、つばさの党のYouTubeチャンネルの登録者数やPV数からは選挙資金を捻出できるほどの規模ではありません。 まして逮捕されてしまえば、勾留中に本人によってYouTubeを更新できなくなります。リスクが高いビジネスモデルです。結局のところ、「根本候補やつばさの党の突撃行為は“誰得”だったのか?」という疑問が残ります。そして、なぜ「選挙が終わってから約2週間も経ってから3人は逮捕された」のでしょうか?

「札幌の野次排除」とは本質的に異なる

立候補者がいる手前、つばさの党の関係者を選挙中に逮捕するとハレーションが起きることは予想できます。警察も逮捕といった行動には出にくく、選挙中は避けようと慎重になる事情は理解できます。 つばさの党の選挙活動を警察が黙認してきた理由として、札幌地裁判決の影響とする指摘する声がSNSで広まっていました。2019年の参院選で安倍晋三元首相が札幌駅前で応援演説をしましたが、居合わせた男女2人組が安倍首相に対して野次を飛ばし、北海道警が2人組を排除した、という事件です。 同事件では、札幌地裁が道警の行為を違法と認定。その判決の影響により、つばさの党の行為を警察が手出しをできなくなった――とする意見です。 しかし、札幌の野次排除とつばさの党の選挙活動は本質的に異なり、同列に論じることはできません。なぜなら、公職選挙法においてギャラリーの野次や掛け声などは規制対象になっていないからです。2019年参院選の事件でも、道警は男女2人組を排除した理由として公職選挙法の選挙妨害であることを主張していません。
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東京都知事選への影響と対策なのか?
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フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。首相官邸で実施される首相会見にはフリーランスで唯一のカメラマンとしても参加し、官邸への出入りは10年超。著書に『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)などがある Twitter:@ogawahiro

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