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「つばさの党」はなぜ今逮捕されたのか。背景に潜む「小池都知事の存在」を考える

東京都知事選への影響と対策なのか?

黒川敦彦

つばさの党の黒川敦彦代表(撮影:小川裕夫)

つまり、東京15区補選において、警察は「とりあえず静観」を選択したのです。それでも、選挙が終われば警察も影響を考慮する必要はありません。容疑が公職選挙法違反ということですから、警察は選挙後すぐに逮捕することも可能でした。繰り返しになりますが、なぜ今のタイミングだったのでしょうか? まず考えられるのは、東京都知事選への影響と対策です。都知事選は東京都民しか投票できない選挙ですが、有権者数が多いこともあって注目度は衆院選・参院選に比肩します。 都知事選にあたり、NHKから国民を守る党の立花孝志代表は4月の時点で候補者11人を擁立すると発表しています。その後も追加で候補者を擁立する考えを示し、最終的には30名の候補者を都知事選に立てる目標を示しました。 つばさの党の黒川代表は、NHK党(当時)の公認候補として選挙に出馬した経験があり、NHKから国民を守る党から選挙戦術を学んでいたことが窺えます。

小池都知事の“疑惑”を追及したかった?

つばさの党は、都知事選に最低でも2人の候補者を擁立すると事前からアナウンスしていました。都知事選と東京15区補選のでは選挙区の広さが段違いです。条件が異なるので単純な比較はできませんが、候補者を2名擁立すれば、使用できる選挙カーは2倍になります。 つまり、候補者を2人擁立すれば東京15区補選の2倍の規模で、仮に4人擁立すれば4倍の規模で他陣営に突撃できるのです。 他陣営に突撃を繰り返したことで知名度を上げたつばさの党ですが、恐らくその根底にあるのが、昨今のマスコミ、とりわけ新聞・テレビへの不信感です。 東京15区の補選では小池百合子都知事が連日に渡って乙武洋匡候補の応援に入りました。以前から小池都知事は学歴詐称が指摘されていましたが、東京15区の補選が始まるタイミングで、東京都特別顧問や都民ファーストの会東京都議団政務調査会事務総長を務めた小島敏郎氏が学歴詐称を暴露。 小池都知事は東京15区補選に立候補していませんが、都知事という立場にあるため東京都内の選挙においては絶大な訴求力を持ちます。そのため、根本候補はテレビ・新聞が学歴詐称を扱わないことに対して不満を抱いていたのです。つまり、根本候補は「小池都知事の学歴詐称は選挙を左右する重要な情報」と考え、それを追及する必要性を訴え、実際に行動していたのです。
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仮に都知事選に出馬することになれば…
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フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。首相官邸で実施される首相会見にはフリーランスで唯一のカメラマンとしても参加し、官邸への出入りは10年超。著書に『鉄道がつなぐ昭和100年史』(ビジネス社)、『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)などがある Twitter:@ogawahiro

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