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「膝の痛み」を軽視してはいけない理由。“歩けなくなる重病”の予備軍が、50代の2人に1人とも

高額出費は免れない?変形性膝関節症の治療とは

 変形性膝関節症の治療法には、どんなものがあるのか。前出の岡崎氏に話を聞いた。 「治療では内服薬の服用やヒアルロン酸注射、リハビリなどの保存療法を施し、回復しなければ手術療法に移行。軽度~中度なら関節温存手術、重度なら人工膝関節置換術を行います。関節温存手術には高位脛骨骨切り術などがあり、軟骨がすり減る原因となる膝の変形を正常に戻します」  岡崎氏は、「人工関節手術はあくまで最後の手段」と言う。 「毎年10万人が人工膝関節置換術を受けており、歩く痛みが和らぐよい治療ですが、走るのは難しくなってしまう。重度の人は致し方ないですが、軟骨がなくならないよう保存療法に注力したり、早めに関節温存手術を検討してほしい」  関節温存手術は保険適用なので約30万~40万円。人工膝関節置換術は人工関節そのものの値段が加わり、50万~60万円ほど。ただ、高額療養費制度により実質負担は約4万〜10万円に収まるという。

初期段階なら8割の人に効果が出る“再生医療”

[膝の痛み]を軽視してはいけない危険な理由

成長因子を豊富に含むPFC-FD™(画像/セルソース。PFC-FD™は同社保有の商標)

 さらに「第三の治療」と言われるのが再生医療。第一人者でもある松田氏が解説する。 「自身の血液や脂肪を加工、培養し膝関節に投与して組織を修復する治療法で、自身の『成長因子』を用いるため、拒絶反応が少なく有効性や持続性が期待できます。仕事などで入院できない人や高齢で手術できない人、スポーツを継続したい人に向いています」  ’14年には、再生医療に関する法律も制定されている。 「法で認められたれっきとした治療法ですが、すり減った膝軟骨が魔法のように復活するものだと過度に期待する人もいます。効き目には個人差がり、末期だとどうしても効果は出にくく、一方で初期から進行期にかけては効果のでる割合は80%超え。費用は一回15万~20万円ほど。長年膝痛に悩まされ、市販の鎮痛剤などを都度購入している人であれば検討するのも手です」  もしもの時には自分に合った治療法を吟味したい。
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