更新日:2025年01月19日 19:58
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八天堂が「くりーむパン」を看板商品に選んだワケ。“倒産危機”から“売上10倍”までの道のり

広島から東京へ「エキナカ」出店が成功の鍵に

東京に出店広島で試験販売を重ねた後、準備を整え東京に進出。期待と不安を持ちながらのスタートだったが、ある出来事からくりーむパンの需要に気がついた。 「あるお客様から『お持ち帰り用の箱はないのか』って聞かれて。ケーキはお持ち帰りの時、よく箱に入れるじゃないですか。ただ私たちはパン屋だったので、これまで『箱がないのか』なんて聞かれたこともなくて。 すぐに無地の箱を準備して、くりーむパンを5個セットで詰めてみた。するとそのセットがどんどんと出ていくんです。予想外の出来事で驚きました。 『どうして』とお客様に尋ねたら『おいしいから誰かに持っていこうと思うんだ』と。なるほど私たちのパンは、パンじゃなくて“スイーツ”に近いものとして受け入れられたんだと思いました」

東京出店後10倍の売上を達成

お客様の反応から売れることを確信した同社は、一点集中に踏み切った。2009年には東京での販売を請け負ってもらえるパートナー会社とも巡り合えた。 「最初は東京都北部の『東十条商店街』での販売でした。反響は予想を上回り、売れ行きは絶好調で目標であった山手線内での販売につながりました。五反田駅、埼玉県大宮駅での催事販売でも大きな反響をいただき、品川駅でも販売することができるようになりました」 販売を続けていくうちに、口コミから徐々に広がり、メディアに取り上げられると瞬く間に認知が拡大。東京出店後、1年で約5倍、数年後には約10倍の売り上げ増を達成した。
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日本が生んだ新しいパンの文化を世界に広げる
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広島生まれ、東京在住のライター。早稲田大学文化構想学部卒。趣味で不定期で活動するぜんざい屋を営んでいる。関心領域はビジネスと食、特に甘いものには目がない。X(旧Twitter):@fujikawaHaruka

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