更新日:2025年01月19日 19:58
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八天堂が「くりーむパン」を看板商品に選んだワケ。“倒産危機”から“売上10倍”までの道のり

“飽きさせない”味で、販路を増やし続ける

飽きさせない工夫

くりーむパンだけではなく全商品を通して“もう一度食べたくなる”を意識しているそう

さて、たった一つ“くりーむパン”に絞った八天堂だが、飽きさせないために、どのような工夫をしているのだろうか。 「もう一度食べたくなる味を常に意識しています。イメージはお母さんの握ったおにぎり。なんか母親が作るおにぎりって、定期的に食べたくなるじゃないですか。 今も毎月たくさんの商品を開発して新作のくりーむパンを販売していますが、全ての商品において余計なものはほぼ入れないことや、濃い味は使わないことを徹底しています」 エキナカを飛び出し、現在はコンビニや大手カフェチェーンでもその姿を見かけるようになったくりーむパン。その理由には、開発当初からのある想いがあった。 「当初から各地域で『ここに行けば食べられる』という状態を実現したいと思っていました。その想いは今も変わっていません。ただ一社でできることは限られているので、最近は多くの企業様と商品を開発しています。 今後もより良い未来が描けるのであれば、お互いの強みを活かして、積極的に連携していきたいと思っています」

日本が生んだ新しいパンの文化を世界に広げる

横浜レンガくりーむパン

横浜レンガくりーむパン

くりーむパンを通して、“パンの手土産”という新しい文化を創ってきた八天堂。2024年秋には、そごう広島、そごう横浜への出店をスタート。現在もさまざまな企業とコラボレーションしながら、次々に新商品を発表している。 12月27日からは「八天堂 そごう横浜店」をリニューアルし、「新スタイルのくりーむパン」も発売した。 さらに日本全国だけではなく、シンガポールや、マレーシア、カナダなど海外にも販路を広げている。しかし海外での展開においては、まだまだ課題があるようだ。 「日本には何かを買って帰る“手土産”の習慣がありますが、海外にはありません。つまり海外でくりーむパンを受け入れてもらうためには、違う訴求を考えないといけないのです。 まだまだ『この食べ物は一体何なのかわからない』と言われることもあり、今は試食をしていただきながら海外での需要を探っています」 また現在企業としては本業から発展した、「体験型の食のテーマパーク」や「農福連携事業」など社会や地域に貢献できる事業に積極的に取り組んでいる。 なかには社員主導の新たな事業も生まれているんだとか。くりーむパンを通して世界に挑戦していく八天堂の今後が楽しみだ。 <取材・文/フジカワハルカ>
広島生まれ、東京在住のライター。早稲田大学文化構想学部卒。趣味で不定期で活動するぜんざい屋を営んでいる。関心領域はビジネスと食、特に甘いものには目がない。X(旧Twitter):@fujikawaHaruka
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