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特殊清掃員が明かす「冬のお風呂で突然死」の壮絶現場。“ヒートショックのリスクが高い家”には共通点が

警察に湯船の栓を抜かれてしまうと清掃が困難に

排水溝 特殊清掃の現場は60歳以上の高齢者が多いが、40~50代で亡くなる方もたまにいるという。さらに、湯船に浸かっている最中に発作等で死亡してしまい、遺体が溶けてドロドロになってしまっている現場もあるそうだ。 「湯船に浸かりっぱなしの遺体は、体の脂とか体液が滲み出て水と混じり合って大変なことになっているんです。警察が来て、そのドロドロの遺体を引き上げる時に、湯船の栓を抜いてしまうことが多いのですが、溶けた遺体のカケラが排水溝の中に入っていって詰まってしまい、清掃の範囲が広がる場合があるんです。本当は栓を絶対に抜かないで欲しいのですが、基本的には抜かれています」  湯船に水が入ったままだと遺体を持ち上げるのが難しいというのは想像できるが……。 「理解のある警察官が担当だと湯船の水が残っていることがあります。そういうときはかなりありがたいです。風呂場での特殊清掃の手順としては、まず窓を全部閉めてニオイの広がりを防ぐ。そのあと吐血などで変色してしまったところを漂白。水が残っていたら、網で固形物をすべて拾って凝固剤を使い、汚染された水を固めてバイオハザードボックスに入れて捨てるといった作業になります」

100万円近く追加費用がかかるケースも

 しかし、水を抜かれて排水溝までドロドロの遺体が流れていってしまうと、作業が困難になる。 「排水溝の詰まりは強力な薬剤で溶かせば何とかなりますが、ニオイがなかなかとれないです。また、水が抜かれて浴槽にこびりついた遺体の清掃はかなり困難です。完全に乾燥していると風呂場を新品になるよう全取り換えしなくてはならないので、100万円近く追加費用がかかります。  手順としては浴槽を外して外に出して、新しい浴槽を運び入れます。この作業工程になるとかなり大変なので、完全に清掃するのは無理だと判断した場合は、先に全取り替えする提案をさせていただくか、取り替え作業自体を他の業者に委託します」  さらに浴槽のつくりがFRPというプラスティック素材だとニオイを吸い込みやすく、さらに換気扇が24時間回っている浴室はかなりやっかいだという。 「換気扇が回りっぱなしだと、ダクトの中にニオイが吸われて染みついてしまい、風呂場が完全にキレイになっても換気扇を回すと、染みついた匂いが風呂場に戻ってくるケースが多いです。誰しも自分がヒートショックで死ぬとは思わないので、注意喚起できるようなことではないのですが」
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浴室でのヒートショックを防ぐために
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(公社)日本ペストコントロール協会認証技能師。1992年、東京都大田区生まれ。地元の進学校を卒業後、様々な業種を経験し、孤独死・災害現場復旧のリーディングカンパニーである「ブルークリーン」の創業に参画。これまで官公庁から五つ星ホテルまで、さまざまな取引先から依頼を受け、現場作業を実施した経験を基に、YouTubeチャンネル「BLUE CLEAN【公式】」にて特殊清掃現場のリアルを配信中!趣味はプロレス観戦
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