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二輪事業は“世界シェアトップ”だからこそ…ホンダが“メリットの少ない”「日産との経営統合」を進めた先にある未来

売上高は四輪が上回るも、収益性は…

 近年の業績を見てみましょう。2020年3月期~24年3月期の実績は次の通りです。24年3月期の販売台数は二輪1,882万台、四輪411万台。20年3月期の1,934万台及び479万台を下回りますが、円安効果や値上げにより増収増益となりました。 二輪事業-売上収益:2.06兆円→1.79兆円→2.19兆円→2.91兆円→3.22兆円 二輪事業-営業利益:2,857億円→2,246億円→3,115億円→4,887億円→5,562億円 四輪事業-売上収益:10.19兆円→8.78兆円→9.36兆円→10.78兆円→13.79兆円 四輪事業-営業収益:1,533億円→903億円→2,362億円→▲166億円→5,606億円  この他にも金融サービス事業で年間3,000億円弱の利益を生み出しています。金融サービス事業は車の購入者に対する貸付事業です。二輪は今後の成長が見込まれる一方、四輪は中国で苦戦し、国内外の生産拠点を次々に集約しています。

“メリットが少ない”経営統合の行方は…

 なお、現時点でホンダは2040年までのエンジン車撤廃を進める方針です。生産する全ての四輪車をEVまたはFCVに置き換えるとしています。とはいえホンダが初のEV「Honda e」を発売したのはたった5年前。同車は昨年の生産終了まで僅か1万台しか売れませんでした。ソニーとの共同開発EV「AFEELA 1」を年内に発売する予定ですが、1,400万円と高級車であり、シェア獲得には至らないでしょう。難航すれば脱エンジン宣言を撤廃するかもしれません。  そして昨年末に話題となったように、ホンダは日産との経営統合を進める方針です。日産を狙う鴻海による買収を防ぎたい経産省が主導したとの憶測も出ていますが、いずれにせよホンダ側のメリットが少ない経営統合といえます。世界シェアトップを握る二輪事業に専念し、軟調な四輪事業は他社と協力しても良いという考えなのかもしれません。 <TEXT/山口伸>
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_
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