ライフ

「“ノルマ”は毎月150万円」年間2000万円ホストに貢いだ23歳女性が、“ホス狂い”から卒業するまで

ホストの彼を支えるために…誕生月の“ノルマ”は350万円

強欲のモメたん——ホストの彼氏を支えるために、どのように資金を捻出しましたか? モメたん:じつはホストにハマる前から、夜の仕事はやっていました。なにか目標とかがあったわけではなくて、割の良いバイト感覚でした(笑)。17歳くらいから、パパ活みたいなことをやっていたので。だから抵抗がなかった。高校を卒業したら、ちゃんとお店に入って稼ごうって感じでした。 ——ちなみに稼いだお金は何に使っていましたか? モメたん:ブランド物とかにも全然興味がなかったから、特に使い道はなかった。本当、ホストクラブくらいですね。当時は看護学校に通いながら、働いてちゃんと貯金していました。でも専門学校を休学してからは、仕事もお休みをしていた。今度はホストクラブに行く費用を稼ぐために、お店を掛け持ちするようになって。 ——具体的には、いくらぐらいホストには払いましたか? モメたん:トップにするために毎月150万円は使ってくれっていう“ノルマ”を課せられた。誕生月のノルマは350万円まで上がりましたね。売上のために高級なシャンパンを何本も入れたので、余ったシャンパンはホストが一気飲みをしていました。ホストクラブに行く時は、基本的には売掛(ツケ払い)か現金払いをしていた。1万円札をお菓子のアルフォートの箱のなかに入れていくと、ちょうど100万円貯まるんですよ。 ——お聞きしていると、ある意味、すごく素直で真面目な性格ですよね。 モメたん:毎月150万円で、イベントのある月はさらに使っていたので、年間だと2000万円近くつかっていました。“出稼ぎ”したり、鬼出勤することでなんとか稼ぎました。ですが、身をすり減らしても、そのうち彼の対応はどんどん雑になって、家にもあまり帰ってこなくなりました。

ホス狂いを卒業するまで

わたしの全てにいいねして

写真集『わたしの全てにいいねして』(東京ローレライ)より

——そこからどうやってホス狂いを抜け出したのでしょうか。 モメたん:ちょうどクリスマスの時期に、お店に行ったんです。ちょっと恋人っぽいことをしたくて、シャンパンを入れる以外にも、小さなお菓子もプレゼントした。そうしたら彼から、『何これ。いらないから従業員にあげておく』って言われた。その態度にむちゃくちゃ腹が立ったんですよね。そこから喧嘩に発展して、私が『店には入らない』ってごねた。それでも店に引きずりこまれて、VIP席で話し合いをしたら、最終的に『これはVIP席代だ』って言われて、持っていた現金を全部抜き取られた上に、同棲していた家の鍵も没収された。 ——それは災難でしたね。どうやって対処しましたか? モメたん:交番に駆け込んだんですが、警察官はあまり優しくはなかった(苦笑)。家にも帰れなくなっていたのに、すごく冷たかった。そこから知り合いに相談をして、弁護士さんを通して被害届を提出したら、やっと警察も動いてくれました。結局、ホストの彼氏とは接見禁止になりました。そこからはホス狂いも卒業できましたね。 ——夜の仕事は続けていたんですか? モメたん:いえ。もう稼ぐ必要がなくなったので(笑)、コンカフェで働くようになりました。もうホストクラブには行っていない。今はオーバードーズのような薬物依存症から抜け出すために、日本ダルク(薬物依存症などをサポートする専門機関)のグループミーティングにも参加したりしています。これからはもっと絵を描いたり、詩を書くような仕事をしたいと思っています。 【強欲のモメたん】 東京都出身。アーティスト。現在は、SNSやnoteを通して作品を発信している。著書に『刺激中毒』(リブリオン)、写真集『わたしの全てにいいねして』(東京ローレライ)。X(旧Twitter):@mgmm127、note:@mgmm127 <取材・文/池守りぜね、撮影/藤井厚年>
出版社やWeb媒体の編集者を経て、フリーライターに。趣味はプロレス観戦。ライブハウスに通い続けて四半世紀以上。家族で音楽フェスに行くのが幸せ。X(旧Twitter):@rizeneration
1
2
刺激中毒 刺激中毒

“病み界隈(トー横界隈)”から誕生した新世代のクリエイターが綴る、歌舞伎町での愛、そして生と死――。東京の片隅で愛を渇望する女の言葉は切なくも苦しい。計20篇の詩と28枚の絵を収録する。


わたしの全てにいいねして わたしの全てにいいねして

元“トー横キッズ”のアート女子が衝撃グラビア!! トー横をはじめ、ホストビルの階段、歌舞伎町タワー、ラブホテルなど、強欲のモメたんのゆかりのある歌舞伎町で撮影。巻末には、その壮絶な半生を語ったロングインタビュー付き。死の淵から、光り輝く場所へ舞い降りた“病み天使”が、令和のグラビア業界を席巻する!?

おすすめ記事
【関連キーワードから記事を探す】