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イオン、ドンキによる買収合戦の結末は…大手小売り各社が「西友」を手に入れたい理由

西友を「PB商品を並べる棚」にすべきではない

 西友の買収を希望する会社の狙いは明白。物流網の活用や、店舗数が増えることによる仕入れの価格交渉力の強化、駅前という好立地の獲得などです。  イオンは特にプライベートブランドの開発に力を入れており、240という店舗数は魅力的。  PPIHも「ドン・キホーテ」だけでなく、総合スーパーの「アピタ」や「ピアゴ」も運営しています。こちらも同じくオリジナル商品の開発に注力中。食料品だけでなく、フライパンなどの生活雑貨や衣類、自転車、玩具なども独自に開発しています。今では数少なくなった総合スーパー・西友との相性が良いのです。また、好立地に出店していることから、スーパー以外の売場を「ドン・キホーテ」にリニューアルすることも視野に入ってくるでしょう。  西友の買収をめぐる報道においては、こうしたメリットを強調する論調が目立ちます。しかし、ブランドに対する消費者の目は厳しくなっており、単純にプライベートブランドの商品を並べるだけで収益性が向上するとは考えられません。西友に来店する消費者の調査や購買データを細かく分析し、地域特性に合致した商品展開、販売戦略を実施するという泥臭い仕事が必要になるのではないでしょうか。  M&AはPMIが重要だと言われます。PMIはシナジー効果を最大化するための統合プロセスのこと。西友はまさにそれが当てはまる会社であるように見えます。 <TEXT/不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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