ニュース

「Switch2」は任天堂に何をもたらすのか。「Wii→Wii Uの失敗」に学ぶ“次世代ハード戦略”の成否

過去コンソールと比較する任天堂の「方向転換」のタイミング

M-Production – stock.adobe.com

任天堂はこれまで、ハードごとに大きくコンセプトを変えてきた歴史を持ちます。 「ファミコン→スーパーファミコン」では、2DからMode 7などを活かした奥行き表現を拡大させ、「ニンテンドー64」で本格的な3D空間を開拓し、「Wii」で体感操作をメインストリームに押し上げる。そして、据え置き型と携帯型を融合させた「Switch」が誕生しました。特に「Wii」から「Wii U」への移行は、タブレット型コントローラーを取り入れたもののコンセプトが曖昧となり、後継機の差別化に失敗してしまった歴史があります。 「Switch2」においては、まさにこの「Wii U」的な“分かりづらさ”をどれだけ排除できるかが重要であり、後継機をアピールする際、前作との違いが明確でないと新たなユーザーを呼び込みづらいく、既存ユーザーにも買い替えを促しづらくなります。ナンバリングを付けることで“正統後継”の分かりやすさはあるが、革新的な機能・操作系統などがなければ「Wii U」と同様、「なんだか中途半端な進化」に映ってしまう危険もあるのです。 実際、「Switch2」の名称発表後に任天堂の株価は下落(終値ベース4.26下落)していることから、ユーザーや投資家サイドにとっては現段階では「予定調和」の情報がほとんどであることが推測できます。 一方で、初代Switchの大ヒット要因のひとつは、タイトルラインナップの絶妙な充実ぶりです。ローンチのゼルダの伝説シリーズの「ブレス オブ ザ ワイルド」や「ティアーズ オブ ザ キングダム」が圧倒的な世界体験をもたらしたことはもちろん、そのほかにも「マリオカート」「大乱闘スマッシュブラザーズ」「あつまれ どうぶつの森」と、任天堂を代表するビッグタイトルが続々登場しました。さらにインディゲームの受け皿としても成功を収め、Switch市場を広げることに成功しています。 つまり、“ビッグネームIP”を的確なタイミングで投入しながら、インディータイトルも巻き込む。その点で、Switchは理想的なプラットフォームとなったのです。

投資家視点から見た「Switch2」の狙い

投資家や市場アナリストの視点に立つと、やはり「ハードのライフサイクルをいかにうまく回すか」が最大の関心事です。ソニーのプレイステーションが「PS1」から「PS5」へとナンバリングを重ねる中で、ユーザーは「ああ、次はPS5が出るのか」と自然に買い替えを検討する流れができています。 一方の任天堂は、ハードの名称が大きく変わるたびに“新しい概念”を打ち出してきたため、ユーザーの興味を引く半面、投資家視点では予測しづらいリスクを抱えてきました。「Wii」の大成功から「Wii U」の伸び悩みという落差が、その典型例です。 「Switch2」というネーミングは、このリスクを最小化するための最良の手段といえます。これまでの実績・ユーザー基盤を土台に、「Switch」の延長線上で確実に台数を上乗せでき、かつ定期的な買い替えを狙えるからです。さらに、性能面の強化やオンラインサービスの充実は、サードパーティの開発も後押しし、ソフト売上や関連グッズの売上拡大にも貢献することが予想されます。 投資家としても、突然のブランド転換で大きく方向性を変えるよりは、安定かつ確実にリリースされる後継機の方が安心感があり、これが長期的な株価や企業イメージの安定化につながる可能性が高いでしょう。
次のページ
任天堂のキャラクタービジネス:ゲーム機を超える収益源
1
2
3
4
金融ライター、個人投資家。資産運用とアーティスト作品の収集がライフワーク。どちらも長期投資を前提に、成長していく過程を眺めるのがモットー。 米国株投資がメインなので、主に米国経済や米国企業の最新情報のお届けを心掛けています。Webメディアを中心に米国株にまつわる記事の執筆多数 X(旧ツイッター):@usjp_economist

記事一覧へ
SPA!編集部が「人生後半を賢く楽しく生きる」をテーマに厳選した記事をメルマガ会員限定で毎週金曜日にメールでお届けします。仕事・お金・性・人間関係…人生を豊かにする秘訣が見つかります。無料・10秒で完了です。
無料でメルマガ登録する⇒⇒
※登録後、メール認証が必要です。受信した認証メールをクリックして、登録を完了させてください。
※認証メールが届かない場合、迷惑メールに入っているか、メールアドレスが間違っている可能性があります。再度ご登録ください。
【関連キーワードから記事を探す】