仕事

元子役・読者モデルの今。芸能界の厳しさも痛感、“歯科医師”としての新たな挑戦「20歳の女性が口を開けたら、歯がほとんどなくて」

国家試験と並行して“ミスコン”にも挑戦、ファイナリストに

ミスコン

ミスコンにも挑戦

 そんななか、大学生活も終わりを迎える頃に「ミスコンに出ませんか?」と声をかけられ、挑戦することになる。  ミスコンといえば、出場者が大学卒業後にアナウンサーやタレントになることが多く、芸能界やメディア関係者からも“登竜門”として大きな注目を集めていた。野尻さんは「やっぱり芸能活動への未練もあったんだと思う」と振り返る。 「当時はミスコンが流行っていて、日本全国のサークルの中でのミスコンがあったんです。でも、日程が国試(国家試験)とかぶっていて。配信審査があったんですが、配信していたら国試に落ちると思って、なかなか時間が取れなくて。  それでも投票してくれた人たちのおかげで、ファイナリストに選ばれたんです。優勝はできなかったけど、テレビやネットニュースなど、いろんなメディアにも取り上げられて。大学生活の最後の思い出として、本当にうれしかったですね」

歯科医師と芸能活動の“二足のわらじ”生活

雑誌

雑誌の特集企画に出演したことも

 現在、野尻さんは岐阜県の歯科医院に勤務しながら、セミナーや講演会、さまざまなメディアで記事を執筆するなど、情報の発信も精力的に行っている。 「ただ、最初の3年ぐらいは“両立は無理なのかもしれない”って。歯医者になってすぐに週刊誌の巻頭企画や写真集に出させてもらって幸先よくスタートを切ったものの、生活リズムがつかめなかったんですね。ようやく慣れてきた頃にはコロナ禍が訪れて……。  念入りに打ち合わせを重ねてきた企画が白紙になってしまったり、さまざまな制限があるなかで、SNSとか読モ時代からつながりがある雑誌で記事を書かせてもらうとか、自分にできる範囲でやっていこうと。それで去年ぐらいからコロナ禍が落ち着いてきて、本格的に再開しようと思って。芸能はもちろん、いろんなことに挑戦していきたいです」  芸能の世界から一般社会にも踏み出したことで今後の目標や価値観も変わってきたという。 「以前はメディアで発信するのも“芸能がやりたい”という気持ちが強かったからなんですが、今は予防の知識を広めて、ちゃんと人のためになりたい。自分がきっかけでみなさんの歯に対する健康観がすこしでも高められたらいいなと考えています。  また、どうしても芸能の感覚で何事も“若いうちが勝負”と思って生き急いでいたのですが、歯医者さんになってからは、いろんな先生や患者さんと接するなかで、もっと長い目で見て、学ぶべきことを1つ1つ学んで、積み重ねていくことが大切だと気づいたんです」  読者モデル・子役から、現在は歯科医師兼タレントへ。芸能活動で培った発信力と、歯科医師としての経験・知識を組み合わせることで、より多くの人に予防歯科の重要性を届けていきたいと考えている。“自分のやるべきこと”が見えている人の言葉は明瞭だ。野尻さんの挑戦は続いていく。 <取材・文/藤井厚年>
明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスで様々な雑誌や書籍・ムック本・Webメディアの現場を踏み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者として活動中。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。趣味はカメラ。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi
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