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転売される“ドジャース開幕戦”チケット、200万円での出品も…「転売ヤーに狙われる構造だった」専門家が指摘

転売ヤーに狙われる構造には疑問もあるが…

 一方で「今回のMLB東京シリーズのチケット販売は転売ヤーが群がりやすい仕組みになっていた」と指摘するのは、転売事情に詳しいフリーライターの奥窪優木氏だ。
ドジャース開幕戦が[転売天国なワケ]

フリーライター・奥窪優木氏

「一般販売に先行して複数回の抽選販売が行われていましたが、抽選販売は往々にして転売ヤーに利する結果になりやすい。彼らはアカウントを大量に保有しており、多重申し込みを行うので。結果として転売ヤーに流れるチケットの割合が大きくなってしまう」  さらに一般販売では、ニワカ転売ヤーの参入も相次いだ。 「転売サイトの存在から『運良くチケットが手に入れば数十万円の利益になる』とわかってしまった。いわばタダで買える宝くじのようなもの。最安で7000円からというのは超良心的価格ですが、荒れますよね。販売方法は果たして適正だったのか、検証する必要があるのでは」(奥窪氏)  大谷チケットに限らず、ファンの情熱を食い物にする転売ヤーだが、憎悪だけで彼らを駆逐できないことも確かだ。  アメリカのように許容するべきか徹底排除するべきなのか。社会全体での議論が必要だ。

運営サイドが転売ヤーを放置する理由とは?

「転売ヤーは、商品の販売価格が各々の支払意思額よりも低いときに発生し、前者で買って後者で売ることで利鞘を得ようと行動する。“大谷チケット”の転売行為が相次いでいるのは、価格が支払意思額よりもずいぶん低いということです」  そう話すのは、経済学者の依田高典氏だ。依田氏によれば、単純な方法で転売ヤーの駆逐は可能だという。
ドジャース開幕戦が[転売天国なワケ]

経済学者・依田高典氏

「MLBのダイナミック・プライシングは、販売価格を支払意思額に近づけるもの。また、オークションや最初は値段を高めに設定し、日を追うごとに値段を下げていくリバース・オークション形式での販売も同様の効果がある。いずれも理論的には転売ヤーが取引から排除されます」  しかし、そこには注意点もある。 「支払意思額通りの販売は結局、転売ヤーから買う際の価格と同額になります。ただ、利益が転売ヤーの懐に入らず興行主や選手に届くことになるので、価値の帰着先としては健全とも言えますが」
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ダイナミック・プライシングにも大きな弱点はある
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