ライフ

全国380軒のラブホテルを巡った女性写真家が教える「一生に一度は行くべきラブホテル10選」

ラブホテルならではのハプニング

ラブホテル

那部亜弓さん

——いろいろなホテルに泊まると、記憶に残るようなエピソードとかハプニングも多かったと思います。印象的なものを、いくつか教えていただけますか。 那部:昭和の古いホテルになると、宿泊料金は、ホテルのスタッフが部屋まで徴収しにくるところがまだあります。 とあるホテルで1日の間に3部屋を巡ったときのことです。料金を支払うとき、ホテルに勤務するおばあさんがやってきました。1人であちこち部屋に入って「何だろうなこの人」と思われたかもしれませんが、私から「お部屋のステンドグラスが素敵ですね」など褒めたら、打ち解けてくれました。そのせいか、おばあさんは窓越しに人生相談してきまして……。60歳になる息子がいるけど、よかったら息子の嫁に来ないかと。まさかの話に展開していったので、とても印象的でしたね。 それから、SM系のラブホテルでは、通常のラブホテルにはない特異な光景を目にすることが多いです。そういったホテルにて、あるとき廊下でナース服姿の調教役と鎖に繋がれた犬役のゲイカップルを見ました。

従業員が突然部屋に入ってきたことも

那部:それから、とある地方のとても古いホテルへ行ったときも印象的なことがありましたね。そこは老夫婦が営んでおり、お世話になったので部屋を出たあとに挨拶しようとしたら、その老夫婦にみかんとお茶とお菓子をいただきました。そこでなんと「ホテルを売りに出したいのだが、アンタ買わないか?」と相談されたのです。部屋の天井を見上げると、奥さんが若かりし頃の際どいポーズをとった、色褪せたヌード写真が飾られていました。 最近では自動精算機が普及して、従業員と触れ合う機会はほとんどなくなりました。それは普通のお客さんにとっていいことでしょうが、私は通常のカップルとは異なる特殊な使い方をしているせいか、不審に思われて従業員が突然入ってきたことがあります……。昭和のホテルは内装だけでなく、従業員と対面ができる機会が多いのは私にとっては魅力のひとつですね。 取材・文/鈴木拓也 【那部亜弓】 千葉県在住。大学在学中、親の死をきっかけに廃墟に目覚める。2015年頃より写真家の活動を開始。2018年から廃墟だけでなく現役ラブホテルの撮影も始める。現在はトークイベント、写真展、ホテル見学会、カップルの出張撮影を実施するなど、昭和のラブホテルの魅力を伝えるべく様々な活動を行なっている。最新の著作は、写真集『HOTEL目白エンペラー』(東京キララ社)。 X:@aisiyon
ライター、写真家、ボードゲームクリエイター。ちょっとユニークな職業人生を送る人々が目下の関心領域。そのほか、歴史、アート、健康、仕事術、トラベルなど興味の対象は幅広く、記事として書く分野は多岐にわたる。Instagram:@happysuzuki
1
2
3
【関連キーワードから記事を探す】