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「生きるためにはリスカするしかなかった」IQ88の生きづらさから統合失調症、想像妊娠…28歳女性の告白

温かかったコーヒーショップの人間関係

当時のことを回想する里奈さん

コーヒーショップでは仕事に苦戦しアルバイト採用となったが、オーナーや温かい仲間のおかげで初めて人を信頼でき、リスカ癖も消えた。22歳で処方薬をやめ、カウンセリングのみで7年過ごした。しかし、26~27歳で正社員に昇格し、リーダー職を担うと同時に1人暮らしを始め、ストレスがピークに達した。彼女の下には恋していた33歳の男性アルバイトがいたが、心身に変化が現れ始めた。 4月に正社員になった彼女は、5月に男性に告白したが振られた。しかし、お笑いライブのネタがきっかけで両思いと思い込み、妄想や幻覚(統合失調症の症状)が現れ始めた。爆発した恋心から大量のLINEを送り、隣人を彼と思い込んでラブレターを20~30通投函し、さらには彼との子を想像妊娠までした。

「怖くて怖くて、ほとんど眠れませんでした」

2022年7月8日の安倍晋三銃撃事件の際、犯人が「旧統一教会(世界平和統一家庭連合)への恨みから教団との関係が深い安倍を狙った」と供述したことで、旧統一教会が自分を狙っていると被害妄想に陥る。近所の駐車場で銃撃戦が行われていると思い込み、母が若い頃に旧統一教会の信者だったことを知ったこともあり、恐怖から1人暮らしのアパートを財布と携帯だけを持って出た。 仕事に行かなくなり、キャリーバッグを持って各地を借金しながら逃げ回った。だが、定期的に受けていたカウンセリングで心理士が異変に気付き、親に連絡。3週間の逃避行が終わり、精神科病院で治療を始めたが、薬が効くまでは旧統一教会に囲まれたと思い込み、親とも会えなかった。 「LINEは途中から、その彼にはブロックされていたようです。隣人にも迷惑をかけましたが、幸い、警察沙汰になることはありませんでした」 統合失調症は、自分が病だと自覚できない病識のない病だ。当時の彼女にとっては、全て現実に起こったことだと感じられたという。 「怖くて怖くて、ほとんど眠れませんでした。数時間置きに目が覚めてしまいました」
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過去を思い出し死のうとしたことも
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ライター・原作者・あいである広場編集長。立教大学経済学部経営学科卒。「認知症」「介護虐待」「障害者支援」「マイノリティ問題」など、多くの人が見ないようにする社会課題を中心に取材する。文春オンライン・週刊プレイボーイ・LIFULL介護などで連載・寄稿中。『認知症が見る世界』(竹書房・2023年)原作者

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