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「わたしは桐島聡です」男はなぜ、死ぬ間際に名乗ったのか。桐島役を演じた古館寛治が導いた答え

自分自身が名前を奪われることには無頓着。それは男だから

自分自身が名前を奪われることには無頓着。それは男だから

(C) 「逃走」制作プロジェクト2025

――50年も生活していれば、内田洋としての人格も形成されていないでしょうか。 古舘:自分は嘘をついているという気持ちが、ずっとあるということですよ。内田洋として、友達もいるし好きな人もいる、結婚しようと思った人もいる。でもそれもやっぱり偽りの人生。 それが直接的な罪の意識じゃないにしても、人を騙しているという気持ちは、やっぱりあると思いますね。本名を隠す理由もとんでもなく大きいですし。死ぬ間際だからこそ言えるというのは腑に落ちます。 ――普段、いろんな役柄の名前で呼ばれると思いますが、古舘さん自身が自分の名前を奪われたとしたら? 古舘:割と無頓着なんですよね。でもそれは男だからだと思います。女性は実際に奪われますよね。結婚したら。 ――たしかに。 古舘:もし僕が結婚のときに名前を変えなきゃいけなかったら、「ええー!」ってなったと思いますよ。子どもの頃から呼ばれてきているわけだから。人って社会のなかで初めて生きていけるから。 社会が古舘だと言うから古舘なわけで、自分の名前は社会とくっついているということだし、それは自分が社会とくっついているということ。自然のなかでひとりだったら、名前なんてどうでもよくなるんじゃないですかね。

浅野忠信は「この人は本物だ!」と思える人

――社会という話からもっと広く、世界に目を向けさせてください。古舘さんも何度かお仕事されている俳優仲間の浅野忠信さんがドラマ『SHOGUN 将軍』で、日本人初となるゴールデングローブ賞テレビドラマ部門助演男優賞を受賞しました。スピーチが世界中で話題になりましたが、ご覧になりましたか? 古舘:見ましたよ。100点満点でしたね。これ以上はないだろうという、話題になるべきスピーチで、素晴らしかったです。 ――あの時点で浅野さんを知らなかった世界の人も、気になって作品を観るでしょうね。 古舘:浅野忠信というのは、本物ですから。 ――本物とは。 古舘:彼は本物の芸術家だと思います。たとえば現場での居方とか本番とかすべてで。スピーチなんかは別に芸術家ということとは関係ないことですけど、彼は表現者たるべくして表現している人です。正直、そうじゃない人だってたくさんいますからね。 浅野さんは、見た目も超カッコいいんだけど、見た目だけで俳優をやっている人じゃない。もちろんあの見た目もあるからこそ、あそこまでいけるんだけど、でも僕の知る俳優の中でも「この人は本物だ!」と思える人ですね。
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続けてきたことで、「表現が向いている」と感じるように
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ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi

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