更新日:2025年04月14日 10:19
仕事

コンビニを入社初日で“飛んだ”40代おじさんの呆れた態度「経験者と思って期待していたのに…」

人手不足のコンビニに救世主が登場

コンビニ 大村さん(仮名・女性)は、兄がオーナーのコンビニで副店長を務めている。  兄は直営店を引き継ぎ、フランチャイズで経営を始めたが、その直後から難題に直面していた。 「本部直営店とフランチャイズでは、マニュアルこそあれど、実際は店舗ごとにルールが異なることが多々あります。前の店舗からそのままスタッフも引き継いだのですが、経営する立場からすると地獄のような環境でした」  スタッフの無断欠勤や深夜勤務中の爆睡など、杜撰な勤務態度が蔓延。そして兄妹が労働環境を厳しく一変させると、それまで自由にしていたスタッフの不満が爆発し、次々と退職者が出る事態となったのだ。  早朝から深夜まで空いたシフトはオーナーの兄と大村さんで埋めた。  兄妹でギリギリの状態でまわしていたが、そんなときに奇跡のような人材が現れた。同じ系列のコンビニ経験者というBさん(仮名・40代後半)が、毎週月曜日から金曜日までの深夜勤務を希望して入社を申し出たのだ。 「経験者で、しかも深夜帯希望の方であったため、私たち兄妹は藁にもすがる思いで雇用することにしました」  しかし、いざBさんと一緒に仕事を始めてみると、違和感が生じた。 「深夜帯に仕事を引き継ぐつもりで働いてみると、Bさんがぜんぜん“できない”ことに気づきました」  履歴書には同じ系列のコンビニでの勤務経験が記されていたが、じつは深夜帯に働いたことがなかったのだ。 「そのうえ、兄からの指示を聞き流したり、新しいことを覚えようとする素振りがまるでなかったので心配になりました」  初日は手取り足取り教え、なんとかシフトを終えることができた。「レジや商品の陳列は経験が活かせるので、深夜帯の業務は少しずつ覚えていけばいい」と励まして、早朝のスタッフと交代させた。

2度と現れなかった新人

 ところが、この日を最後にBさんは二度と店に姿を現さなかった。勤務時間になっても出勤せず、連絡も取れない状況が続いた。  本部の担当エリアマネージャーを通じて調査を行うと、驚きの事実が見えてきた。 「コンビニのスタッフたちは横のつながりがあって、以前のうちの店舗はラクだという情報が流れていたようなんです。それでBさんはゆるい労働環境をイメージし、深夜の時間帯は眠ることができると考えて応募してきたようです」  オーナーが大村さん兄妹に変わり、厳格な体制に整備されていたことを知らなかったようだ。 「本部からの指示により、Bさんにはしっかり1日分の給料が支払われました。彼が1日で飛んでしまった事件以降、面接の際はアルバイトも含めて簡単に採用するのではなく、こちらの業務の内容やどのような人物を求めているのか、事細かくすり合わせをするようになりました」  現在、店舗の運営は安定し、9年目を迎えているという。Bさんのその後についてはわからない。 「Bさんは当時すでに40代後半でしたので、もう少し成長された50代になっておられることを祈ります」と締めくくった。 <取材・文/藤井厚年>
明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスで様々な雑誌・書籍・ムック本・Webメディアの現場を踏み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者として活動中。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。趣味はカメラ。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi
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