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日本の“トイレ”で外国人観光客が感動。お土産に“便座”を爆買い「日本のトイレは、もはや文化だった」

決定打は“温水洗浄便座”!

チャイルドシート

どこのトイレにもみられるチャイルドシート

感動のピークは、やはりあの「ウォシュレット体験」だ。「便座が温かい!おしりが洗える!しかも自動でふたが開いて、ライトがつくなんて……!」 目を丸くして話すコニーさん。何度か使用するうちに、もう普通の便座には戻れなくなったという。 「ウィーンの冬は寒いの。だから以前はガスのヒーターを使ってトイレも温かくしていたんだけど、最近は供給の問題でそれも難しくなっていて……。そういう意味でも、この便座は本当にありがたかったわ」 そして、帰国が近づいたころ、彼女は大胆な決断をした。 結婚してもうすぐ半世紀。穏やかな年金生活も8年目の夫・ロベルトを説得し、家電量販店へ向かった。今ではほとんどの時間を自宅で過ごすふたりにとって、少しの快適さが大きな喜びになる——コニーさんの思いは、そこにあった。

便座がおみやげ? オーストリアで使えるの?

ここで気になるのがどうやって日本で買った便座をオーストリアで使うかだろう。まずは電圧の違いがある。日本は100ボルト。一方でオーストリアの電圧は他のヨーロッパ諸国同様日本よりもずっと高い230ボルトだ。 「じつは日本の量販店でも海外へのお土産用として電圧が高いモデルが売られているんですよ」 彼女が購入したのは電圧が220ボルト用のモデル。オーストリアの230ボルトより少し低いが、そのあたりは誤差の範囲で変圧器は不要。そして重量は1台あたり約4.5キログラム。ずいぶん軽いと思われるかもしれないが、売られているのは「便座とコントローラーと蓋」の部分なので意外と軽い(「便器はオーストリアの家にあるものをそのまま使い、「便座」部分のみを取り換える)。2台で約9キロなので受託手荷物で預けられる範囲だ。 日本から海外に便座を持ち帰る際に問題になるのはむしろ「電気工事」かもしれない。日本で少なくとも21世紀以降に建てられた家ならトイレに温水洗浄便座用の「コンセント」があることが普通だろう。 だが、トイレで家電製品を使うことなんてそもそもないヨーロッパの国々ではそこにコンセントがない。 つまり「えっ? トイレの便器のそばにコンセントをつけるんですか?」と現地の電気工がおそらく首をかしげる工事を依頼しなければならないのだ(トイレとシャワーと洗面台が一部屋になっている「バスルーム」では、ヘアドライヤーなどで使うためのコンセントから延長コードを延ばすという手もないわけではない)。 幸いなことにいとこの1人が電気工。工事は無料でやってもらえるという。 「自宅でこの便座を使って、友達にも体験してもらいたいの。きっと驚くわよ!」 コニーさんは笑った。
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日本のトイレで感動したワケ
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ウィーン生まれ、演奏家の両親のもと東京で育つ。慶應義塾大学文学部卒業。1859年設立されたコンコルディアプレスクラブウィーン会員。英国・オーストリア・インドに滞在し、欧州在住歴は40年以上。『地球の歩き方』ほか各メディアに寄稿。2018年、オーストリア政府より「功労黄金名誉勲章」受勲。著書に『アウガルテン宮殿への道』(ショパン、2002)など。世界100か国以上の現地日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。

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