仕事

19歳で単身渡米「年商250億円」のグループ企業を築くまで。“4度の破産危機”を乗り越えたアメリカの“敗者復活”文化

義父から受け取った「16万ドルの小切手」

吉田潤喜さん

どん底のときに支えてくれたのが、ほかならぬ妻と義父だった

「ヨシダソースを始めてたった2年で売れるようになって。調子に乗ってラジオCMを流したり、プライベートでは金持ちの象徴であるレンガのように大きい携帯電話を持ったり、高級車を買ったり……完全に浮ついていました」 売り上げが伸び続けているにもかかわらず、次第に運営資金が回らなくなった。もう会社を畳むしかないーー深夜に帰宅してガレージで酔いつぶれたとき、妻・リンダが近づいてきた。当然、怒られるかと思いきや、意外な言葉が返ってきた。 「ハニー、好きなだけ飲みなさい。そしたら明日、この家を売って、安いアパートを探しましょう」 彼女の言葉で踏ん張ろうと思った翌日、今度は義父からお呼びがかかった。「娘を返してほしいと言われるかもしれない」と恐る恐る会うと、「マイ・サン、これを使いなさい」と、渡されたのが“1枚の紙”。 「それは、16万ドルというとんでもない額が書かれた小切手でした。義父は30年間ユナイテッド航空で働き、コツコツ貯めたお金を僕に託してくれたのです。そして、このときはじめて、僕のことを息子(サン)と呼んでくれました。なんとしてもこの恩を返すという気持ちが芽生え、しっかり踏ん張って経営に取り組みました」

アメリカのビジネスは「敗者復活」一方で日本は…

吉田潤喜さん

日本の若者に対して、伝えたいことはたくさんあるそうだ

日本とアメリカのビジネス文化の違いについて、最大の違いは「敗者復活」だと語る。 「アメリカでは、失敗しても妻や義父のように応援してくれる人が多いです。税制ひとつとっても、失敗した起業家を支援する仕組みになっています。一方日本では、一度失敗すると再起が難しく、これが日本の経済発展を妨げる原因ではないかと思っています」 吉田さんは事業の失敗と、そのたびに支えとなってくれた人々との経験を通して、「人生はブーメランだ」という言葉を胸に、恩返しの精神を大切にしている。また、病院への寄付やシングルマザー、がんの子どもへの支援など、さまざまな社会貢献活動にも力を入れている。 「いくら多くのネットワークが形成されていても、恩返しがなければ人心は集まりません。商いとは、単に金儲けをするだけではなく、人の心をつかみ、人と人が支え合うものであると思います。実際、お金儲けがさらなるお金儲けを生むのも、この原理の現れです。 私は『人儲け』という言葉を、若い人や企業の皆さんにぜひ伝えたいと考えています。日本では、売上や業績だけに注目しがちですが、本当の意味での商売とは、ブーメランのように投げた恩が必ず戻ってくるーーそんな信念に基づくものであると信じています」 <取材・文/橋本 岬 撮影/尾藤能暢>
IT企業の広報兼フリーライター。元レースクイーン。よく書くテーマはキャリアや女性の働き方など。好きなお酒はレモンサワーです
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