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「困った人」を動物に例えて炎上した本の中身を検証。当事者会代表「職場を混乱させる恐れ」、弁護士「記述された対策の誤用でパワハラに」

職場に混乱を招くリスクが高い

職場の「困った人」をうまく動かす心理術

中高年発達障害当事者の会「みどる」代表理事の山瀬健治氏(59歳)

「ASDタイプの対処法に『時間管理が苦手』とあるが、これはADHDの特性としてより顕著。ASDとADHDの混同や、『優勢』を『優性』と誤るなど、医学的正確さに欠けている印象です。また、発達障害者全般への代表的な支援である、視覚的支援(イラストや図示することで視覚的に分かりやすくする支援)にもほぼ触れられてなく、診断チャートに基づく誤った対処法は、職場に混乱を招くリスクが高いです」 さらに山瀬氏はイラストの問題にも言及した。 「一番の問題は、『敵が分かれば対策ができる』ので、占いレベルで『当てはめてみました(原文ママ)』としている点です。動物占い感覚で、障害者を動物のイラストで分類するのは不適切。対策本としては疑問な上に、当てはめられた障害者を傷つけ、炎上したのは当然といえます」 実際に、書籍の目次や帯を見て精神科受診に至った当事者もいたという。

企業側の受け入れ態勢への公的な支援が不足

また、Xで本書の出版を擁護する声の中には、当事者の抗議に対して「怠けている “困った人” 」が、対策本によって働かされるのを嫌って、差別と騒いでいるというものもあった。この本に擁護論が出ているという事実は無視できないと山瀬氏は続けた。 「本書への擁護論がでる背景には、発達障害のある社員特有のマネージメントノウハウもなく、一緒に働かされる上司や同僚への負担に対する公的な手当てが足らないことが大きいと思っています」 合理的配慮を要求されて、その気持ちはあっても具体的なノウハウも支援もない状態では、負荷ばかりかかる。その負荷は、現場の社員の個人負担となる。 「『〇〇さんへの合理的配慮をしていたので作業が遅れました』が許されないなら、発達障害のある社員と働くことへの忌避感が生まれてきても不思議はありません」 また、実際に発達障害のある社員の中には、職業準備性(障害の有無にかかわらず、働く上で必要とされる基礎的な能力や資質のこと)のない人や、不十分な人がいることも事実だ。 「公的支援制度が “就労ありき” で、就労支援制度の事業者が、障害者を就労させないと、収入が減る仕組みになっています。そのため本来は、働くのが難しい人も、職場に押し込んでいるケースが多々あると思っています」 一度職場を離れて、再度、就労支援を受けるのも選択肢ではある。が、一度採用した社員を、「職業準備性の不足」を理由に解雇するのは、日本の法制度上難しいのではないか。 「企業側(特に現場)の受け入れ態勢への公的な支援が不足している中で、機械的に法定雇用率をあげる。更に、表面上の障害者の就労率を上げるために、職業準備性の整っていない人を就労させてしまう。そういう状況が続くようでは、また今回のような粗雑ともいえるノウハウ本が出てしまうではないか」と山瀬氏は危惧する。
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医師法や障害者差別解消法違反に抵触する恐れは?
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ライター・原作者・あいである広場編集長。立教大学経済学部経営学科卒。「認知症」「介護虐待」「障害者支援」「マイノリティ問題」など、多くの人が見ないようにする社会課題を中心に取材する。文春オンライン・週刊プレイボーイ・LIFULL介護などで連載・寄稿中。『認知症が見る世界』(竹書房・2023年)原作者

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