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ステーキ店の倒産は過去最多だが…躍進する「名古屋発&沖縄発ステーキチェーン」2社の戦略

ファストステーキの「やっぱりステーキ」の業績は?

やっぱりステーキ

やっぱりステーキ

市場を開拓した先駆者である「いきなりステーキ」のパクリと揶揄されながらも、店舗間のカニバリゼーションで失速したその先駆者から学習し、成長を加速させている「やっぱりステーキ」。 店舗の半分はフランチャイズで、他人資源を活用し経営リスクを分散させながら、経営理念共同体として強固な関係を構築し、積極的な店舗展開を推進中だ。 人口10万人当たりのステーキ店が10.8店と47都道府県で最も多い、沖縄が発祥の地だ。 ステーキを日常食にし、毎日でも食べられる気軽な食事にしたいと立ち上げたのが、ディーズプランニングの義元大蔵社長である。 2015年、那覇市に1号店をオープン。ローコストオペレーションの仕組みの確立により、多店舗展開をしていった。飲んだ後はステーキで締めるという沖縄文化を他地域でも広めており、店舗数の伸びは成長著しい。 コロナ禍でも店舗数を1.5倍と急伸させた実績を持つ。同社は非上場のため業績は公開していない。

“コスパ最強”と言われる充実のメニュー

やっぱりステーキのメニューボリューム感ある美味しい肉を低価格で提供されており、食肉が高騰している中で、コスパ最強と定評がある。 溶岩石の上に肉が盛られて提供され、シズル感(肉が焼ける音)と匂いがますます食欲を掻き立てる。卓上には豊富な種類のソースが置いてあり、味変が楽しめる。 2024年10月から、お肉はスモールサイズ(約150g)、レギュラーサイズ(約200g)、ラージサイズ(約300g)と用意されている。 小規模な店舗で一人でも気楽に入れて、しかも、今の時期にライス・卵スープ・サラダ(キャベツ千切り・マカロニサラダなど)も食べ放題で、安価だから、人気が出るのも当然のようだ。 2025年2月は10周年を迎え、より一層の成長を目指している。 海外市場の開拓にも注力し、現在、オーストラリア、シンガポール、ネパール、フィリピンなど、海外では合計12店舗がある。 直近では、2024年12月、シンガポールに2店舗目がオープン。2025年3月に4店舗目がオープンしたフィリピンは、人口構造的に若者世代が多く平均年齢も若くて人口も増加傾向にある。そして、経済も明るい兆しを見せている。もともとファストフードなどの外食文化があることから、安くて美味しいカジュアルステーキの文化を浸透させつつ、成長の加速に期待できそうだ。

業態の異なるステーキ店がそれぞれ拡大中

贅沢で豪華な食事とされたステーキ。昔はお祝いごとやハレの場でしか食べる機会がなかったが、気軽に行けるように業態開発してきたのが、ファストステーキ店やステーキファミレス店だ。 増加するインバウンド客にもステーキや鉄板焼きは人気だ。そのステーキ市場で、ブロンコビリーとやっぱりステーキの両社。それぞれ業態は異なるが、お互いを意識しながら市場に競争と刺激を与えている。 スクラップ&ビルドが頻繁で新陳代謝が激しい外食環境の中で、あらゆるコストの上昇に柔軟に対応している。この逆風を跳ね返し、今後も策定した成長戦略の実現に努めてほしい。
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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