仕事

「指紋が全部なくなった」特殊清掃現場の“危険すぎる”実態。猫に噛まれて破傷風、HIVの感染リスクも

現場の視覚情報が悲惨すぎて…

ゴミ

部屋中にゴミが散乱

 肉体的な病気だけではなく、“こころの病気”にかかる人もいるそうだ。 「入社したばかりの人たちにとって、ほとんどの現場があまりにもショッキングなため、日常生活を送っている中で、仕事中の視覚情報がフラッシュバックしてしまうなどの症状は多いです。そこで仕事を辞めてしまう人もいます。  作業中に体調を崩したり、自律神経が乱れて汗ダラダラ、心臓バクバクで過呼吸みたいな。幸いなことにうちのスタッフは悲惨な現場などに耐性が強い人が多いのですが、それでもやっぱり初めての現場の時は『壮絶でした』と言っていましたね。1日まったくお腹がすかないみたいな」  そういう過酷な現場で身体がおかしくなる人もいるという。 「多くの人は食欲がなくなるのですが、まれに『お腹が空く』と言っている人もいますね。もちろん体を動かすのでお腹が空くのは自然現象でもあるんですが、何人か同じような人がいたので、僕の考えでは、凄惨な現場を目の当たりにして、生存本能が刺激されて、身体が“生きなくては……”と元気になったのではと考えています。こういう機能は人間の本能として備わっているのだと思います」  さらに案外侮れない“病気のもと”がある。 「部屋に入るとツーンとした匂いが蔓延していて、壁一面に真っ黒のカビが生えていたりすることがあります。長時間いると防護服を着ているのにもかかわらず、アレルギー反応なのか頭痛がしたり、暑くないのに汗ばんできたりするんです。カビも吸い込みすぎると記憶障害の原因になったりするみたいで、実はかなり危険です」

薬剤の影響で「指紋がなくなってしまった」

苛性ソーダ

清掃作業では、苛性ソーダを使う場面も

 また薬剤のアクシデントも起こりうる。 「清掃の過程で濃度が高い塩素を使うことが多いのですが、その時に防護服を着ていればよかったものの、最終段階の作業だったので油断していました…薬剤が体にかかって化学火傷が起きてしまって、皮膚がただれたというトラブルはありました。また防護服を着ていてもちょっとした隙間から薬品が入って化学火傷を起こしてしまったり、イレギュラーは尽きません。なので、常に油断は禁物です」  劇薬の清掃道具を使っている最中のトラブルもあるという。 「会社の創業当初くらいで、右も左もわからないころの失敗談なのですが、最後の仕上げの清掃の時に苛性ソーダを使うことがあったんです。これは僕のただの不注意なんですが、仕上げなので防護服や手袋などを全て脱いで作業していて。これはタンパク質を溶かす成分があるので、手につくとぬるぬるして変な感触なんですよ。仕事が終わって家で自分の手をまじまじと見てみたら、指紋が全部なくなってしまいました。やっぱり防護服は最後まで脱がないのがいちばん安全なのだと思います」 <取材・文/山崎尚哉>
(公社)日本ペストコントロール協会認証技能師。1992年、東京都大田区生まれ。地元の進学校を卒業後、様々な業種を経験し、孤独死・災害現場復旧のリーディングカンパニーである「ブルークリーン」の創業に参画。これまで官公庁から五つ星ホテルまで、さまざまな取引先から依頼を受け、現場作業を実施した経験を基に、YouTubeチャンネル「BLUE CLEAN【公式】」にて特殊清掃現場のリアルを配信中!趣味はプロレス観戦
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