ライフ

トンチを駆使して24時間営業するネットカフェのカラクリ…「店内で提供しているもの」はNGなのに「持ち込み」はOK?

ネットカフェは風俗営業に当たってしまうのか?

飲食の制限

飲食の制限は個室営業を守るためだった(本書64pより)

 もし、ネットカフェが風俗営業に該当しないために、事業者はどのような対策をとりうるでしょうか。  先に見た風営法上のカテゴライズからすると、ネットカフェが該当してしまいそうなのは、①「喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業」という部分です。店内がものすごく暗いか、閉鎖的で狭い個室を営業に使っていれば「風俗営業」になるということでした。もっとも、②「照度10ルクス以下」というと、イメージ的には黒魔術の儀式を執り行うくらいの明るさですから、ネットはできても『三国志』が読めません。ここは心配しなくてよいでしょう。  一方、ネットカフェの鍵付き個室は③「他から見通すことが困難」なことは明らかですし、④「広さが5㎡(正方形なら一辺2.2メートル強)以下である客席」にも当たってしまいそうです。そもそも「狭く区切られたプライベート空間」は24 時間営業と並んでネットカフェの死守しなければならない営業上の砦です。  そうなると、閉鎖個室営業を守るネットカフェがとるべき選択は、①にある「客に飲食をさせる営業」という部分の見直ししかありません。  そこで、「自店で販売しているメニューを個室内で食べられると『飲食させる』に当たってしまう」→「でもお客さんが外から買ってきたものを勝手に飲んだり食べたりする分には『飲食させる』に当たらないのではないか」という流れに至ったのではないかということです。こうした発想は短絡的でも何でもなく、実際、風営法上の無許可営業で検挙されるケースでは、店舗側が飲食物を提供することが前提とされています。  こうして生まれた変なルールとともに、鍵付き個室にて24時間の快活な時間が守られるというわけです。

快活と合法の狭間で

 熟慮の結果、事業者側が合法となる抜け道を見いだしたように、利用客の側も個室に居ながらにして店内メニューを食べる方策というものを見つけられないものでしょうか。ここで「鍵付き個室のドアを開け放って食べる」「ドアから頭と両手と皿だけ出して食べる」というのは鍵付き個室の趣旨に合いません。 「2名で店舗に行き、それぞれが店内メニューを購入したあと、それを交換する」という形はどうでしょうか。購入した時点で購入した客の所有となるとして「僕たち(私たち)店舗が提供したものを飲食しているわけではないのよ」という説明も考えられます。  ただし、警察のご指導を受けるのはあくまで事業者ですから、こうした屁理屈を見過ごすことはできんと考えた店舗からあなたが出禁をくらうだけでしょう。  郷に入りては郷に従え、ネットカフェに入りては風営法に従えを心がけて、楽しいネットカフェライフを堪能していただければと思わずにおれません。 著者/中村真 神戸大学法学部法律学科卒業。2003年、弁護士登録。2014年、方円法律事務所に加入し現在に至る。神戸大学大学院教授も兼務。著書に、『裁判官! 当職そこが知りたかったのです。―民事訴訟がはかどる本―』(学陽書房)、『相続道の歩き方』(清文社)ほか多数。『世にもふしぎな法律図鑑』(日経BP)は最新の著作。
ライター、写真家、ボードゲームクリエイター。ちょっとユニークな職業人生を送る人々が目下の関心領域。そのほか、歴史、アート、健康、仕事術、トラベルなど興味の対象は幅広く、記事として書く分野は多岐にわたる。Instagram:@happysuzuki
1
2
SPA!編集部が「人生後半を賢く楽しく生きる」をテーマに厳選した記事をメルマガ会員限定で毎週金曜日にメールでお届けします。仕事・お金・性・人間関係…人生を豊かにする秘訣が見つかります。無料・10秒で完了です。
無料でメルマガ登録する⇒⇒
※登録後、メール認証が必要です。受信した認証メールをクリックして、登録を完了させてください。
※認証メールが届かない場合、迷惑メールに入っているか、メールアドレスが間違っている可能性があります。再度ご登録ください。
【関連キーワードから記事を探す】