ライフ

20年以上放置していた実家が「ごみ屋敷」に。高齢の父が一人暮らし、“生前整理”に5日間もかかって

父の独居にはゴキブリが…

段ボール

段ボールでぎっしりの押入れ

 父が住む家には、年に数回ほど帰っていた。帰るたびに今度は古書が増えていた。嫌な予感がして聞いてみると、集合住宅のごみ捨て場に古書を捨てる住人がいたそうだ。  気になって拾おうとしたら、持ち主から声を掛けられたという。生前整理のために処分していた持ち主から、直接譲ってもらうことになった。その量もトータルで百冊くらいあり、家の中が古書で溢れていた。  掃除機をかけているのを見たことがなかった父の家に泊まると、深夜にカサカサという音が……。嫌な予感がして目を覚ますとゴキブリがうごめいていた。眠れず目を覚まし、台所のシンクに行くと今度は皿のあたりをゴキブリがこんにちはしていた……。床が見えないぐらいに汚部屋状態なうえに、ごみも拾ってきているのだから仕方ない。  そんな父の家も見てみぬふりをしていた。しかし、一昨年前に母が急逝し、続くように今度は父がすい臓がんと診断され、余命宣告を受けた。父は治療の成果があり一人暮らしを続けているが、医師からもしもの時のために、私の家の近所に引っ越すように言われた。そこで、「お片付けブラザーズ」という芸人さんがスタッフの生前整理サービスの業者に依頼し、実家の片づけを始めた。業者に依頼する場合は、費用がネックになると思うので複数の見積もりを取った方がよい。

ごみ屋敷も生前整理ですっきり

選別

押入れの段ボールをすべて「いる・いらない」と選別していく

 我が家の場合は、2DKの一部屋がほぼ段ボールで埋まっていたため、その部屋から片づけを始めた。すべての段ボールや、タンスの中身、棚の引き出しなどをすべて出して、「いるもの・いらないもの」を確認して選別する。この作業が一番大変で時間がかかった。  とはいえ、ほとんどが私の荷物だったので、兄弟や家族がいる人と比べると、物の「いる・いらない」の判断をするのが自分一人で済んだのは楽だったかもしれない。  ちなみに段ボールの中身を確認せずに一括で破棄する方法を選ぶと、費用も抑えられる。業者に頼むと、日数や作業員の人数で費用が決まるので、できる限り不用品が少ない方が安く済ませられる。  業者さんによると、そこが遺品整理との違いで、遺品だとほぼ一括で処分することを選ぶ家族が多いそうだ。我が家の場合は、タンスやテーブルなどの自分たちで処分するには大変な大型家具の処分も業者に依頼したので、粗大ごみの処分代などもかかった。車の運転や、家族で家具の搬出ができれば業者に頼まないで、ある程度は生前整理ができるだろう。ただ、短期間で一気に片づけるのなら業者に頼んだ方が効率的だと感じた。  生前整理は自分の過去のものや、家族のものを捨てなければならないので気持ちが落ち込むこともあった。だからこそ業者を利用するのなら、挨拶が明るく元気なスタッフが良いと思った。スタッフが芸人さんだったので、父が病気という中での片付けでも湿っぽくならずに済んだ。

5日間にわたる生前整理でわかったこと

押入れ

ほとんど空になった押入れ

 生前整理を行って良かったと思ったのは、自分の子どもの頃の写真や図工の作品などが出てきて、それがきっかけで親と懐かしい時間も過ごせたことだ。また実家から出てきた70年代のジーンズや、私が集めていたテレフォンカードなど、意外なものがフリマサイトで売れたりもした。最近はレトロブームもあるので、懐かしいものがちょっとしたお小遣い稼ぎにもなるかもしれない。 「いつかやろう」と思い始めてから10年ほど放置していたが、実家の生前整理が終わって気持ちが楽になった。また大型家具もすべて処分したので、家具転倒の心配もなくなった。必要に迫られないとなかなか生前整理を始められないが、実家と距離がある場合は行き来するだけでも時間も体力も使う。また、実際の作業の過程で大量の「いる・いらない」という判断を行って気づいたのだが、非常に頭を使う。片付けが終わった後は頭痛がして体調に変化をきたした。  結局、我が家の場合は2DKの片づけで、ごみの搬出もあわせて5日間かかった。生前整理は肉体的にも精神的にも体力が必要だったので、親も自分も元気なうちにやった方がいいと、この経験から伝えたい。 <文/池守りぜね>
出版社やWeb媒体の編集者を経て、フリーライターに。趣味はプロレス観戦。ライブハウスに通い続けて四半世紀以上。家族で音楽フェスに行くのが幸せ。X(旧Twitter):@rizeneration
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