更新日:2025年06月01日 11:24
お金

「15万円の年金と退職金500万円でおだやかな老後を…」75歳のひとり暮らし男性が“老後破産”するまで

貯蓄は数年でほぼ尽きてしまった

 70代半ばになると、心臓にも不安が出始め、検査と手術が必要になりました。手術費用や術後の入院費は高額で、Aさんの貯蓄は急速に減っていき、数年で貯金はほぼ尽きてしまいます。  さらに追い打ちをかけたのが、物価の上昇でした。家賃や光熱費、食費は次第に重くなっていきます。Aさんは節約を心がけましたが、それらを払うだけで年金の大半が消え、苦しい日々が続きました。 生活保護 家賃の支払いも滞り始め、生活費の支払いも限界を迎えます。家賃の滞納が続いた結果、住んでいた賃貸アパートからも退去を求められました。住む場所を失ったAさんは、生活保護を申請することになります。ひとり静かな生活を送り続けるつもりだった老後は、経済的な困窮と孤独に満ちたものとなりました。  Aさんの例は、ひとり暮らしの元会社員が、貯蓄不足に加えて、予期せぬ医療費や生活費の増加により老後破産に至った事例です。老後の生活のために備えた貯蓄が少ないと、病気や物価の上昇などのリスクに対応できず、経済的に追い詰められる可能性があることを示しています。

定年後も住宅ローン返済が続き、大きな負担に…

 続いて、老後の支出が多かったことが原因で、老後破産に陥った人の事例を紹介します。 元会社員(管理職)Cさん(77歳)のケース  Cさんは、大手メーカーの管理職として40年間定年まで勤め上げました。30代までは、結婚願望もあり、一時期は婚活に励んでいたこともありましたが、良いご縁に恵まれず、40代になると結婚は諦め、ひとりで生きていくことを決断しました。 リゾートマンション Cさんは、40代半ばで念願のマンションを東京の郊外に購入しました。返済期間30年の住宅ローンを組みましたが、退職金や年金で生活を支えられるという自信がありました。しかし、その後の計画は想定外の出来事や出費により狂ってしまいます。  定年を迎えたCさんは、65歳から年金生活に入りましたが、受け取れる年金は月額18万円程度でした。会社からの退職金もある程度は貯蓄していたものの、住宅ローン返済が毎月約13万円と大きな負担となり、生活費を圧迫しています。生活費を切り詰め、質素な生活を続けましたが、物価の上昇や想定外の出費が次第に負担となっていきます。さらに健康面でも問題が生じ、医療費が増え始め、薬代や診察代が年々増加するようになりました。
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マンションを売却したものの、自己破産することに
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慶應義塾大学法学部法律学科卒。税理士・公認会計士。2003年に大手監査法人に入所し、上場会社、上場準備会社の会計監査に従事。2009年7月に永井圭介公認会計士・税理士事務所を設立。中小企業を中心とした、税務・労務関連サービス、経営コンサルティングの他、YouTuber「税理士ナガイ」として税に関する知識をわかりやすく視聴者に解説している。YouTube登録者数は11.5万人。インボイスの解説動画も定期的に投稿しており、関連動画の再生回数は200万回を超える。近著は『世界一わかりやすい! インボイス』(高橋書店)など

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