「ちいかわハッピーセット」わずか3日で販売終了…“転売ヤーは違法じゃない”に感じるモヤモヤの正体
“違法ではないから転売してもOK”という考えがあらわすもの
ちいかわたちのかわいいおもちゃが、ハッピーセット®に初登場!?
— マクドナルド (@McDonaldsJapan) May 8, 2025
5/16(金)から!#ちいかわ pic.twitter.com/cDIR2Z8Nfs
目先の利益に血眼になり、「ちいかわハッピーセット」を買い占める行為は、自身の美的感覚に照らし合わせてどう映るでしょうか? 実際にこのようなことが、大人たちによって行われていることを、もしもあなたが親だったら子どもにどう説明するでしょうか? “きれいごとを言うな”と思う人もいるかもしれません。しかし、理想がないところで正確に現実を映し出すことはできません。理想論を捨てたときに、現実は崩壊します。 雪崩を打つ転売行為は、ひとつの象徴と言えるのかもしれません。 フランスの哲学者、モンテーニュは法律そのものをよりシニカルに見ています。 <ところで法律が信用を維持しているのは、それが正しいからではなく、ひたすら法律であることによる。それこそ法律という権威の不思議な根拠なのであって、ほかにはなんの根拠もない。そのことが法律にも有利に働く。法律というものは、しばしば愚者の手で作られる。たいていは、平等を憎み、公正を欠くような人々によって作られる。とにかく、からっぽで、無節操な人間によって作られるのだ。>(『エセー抄』 宮下志朗 編訳) 大量の買い占めで転売行為をすることが問題ないとされるのも、「ひたすら法律であることによる」との裏返しの理由でしかないのです。そこには意義も道義的な正当性もなく、「からっぽで、無節操」という点において、皮肉にも転売と法律が符合を見せているとも言えます。 孔子とモンテーニュ。両者の言葉から、“違法ではないから買い占めをして転売してもかまわない”と考えることは、現代の空虚さをよくあらわしているのです。
一方で「ムキになってルール違反を訴えるほどのものか?」という見方も
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4
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